ゆ き と の 書 斎

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レビュー(映画)

2006年08月26日
「ゲド戦記」

*「ゲド戦記」を擁護してみる。*(バレなし)

原作者のル・グウィンが批判的なコメントを発表したようです。↓
ジブリ映画「ゲド戦記」に対する原作者のコメント全文

これ読むと、僕も原作者として自作が映画化されるのを待っている身なので、他人事じゃないような気がしてくる。
(^-^;)

すでにつーちゃんが自分の日記に書いているように、前回の仕事が終わったあと「ゲド戦記」を観ました。
ツトム風雲録8月分参照

作品の内容についての批判はまったく同意。

しかしだ。…と、あえてあまのじゃくに擁護してみます。

みんな、「ジブリ」とかのブランドネームに振り回されてるんじゃないかな。
(原作者ル・グウィンと原作の熱心なファンは除く。ここで対象にしているのは、原作をよく知らないでアニメを観た大多数の人たち)
「もし」これがあまり聞いたこともないアニメスタジオの作った作品だったら、ここまで酷評されんでしょう。
監督が新人である時点で、バイアスを外して観るべきですよ。
これを宮崎駿パパが作ったんなら、僕もけちょんけちょんにけなしますけどね。

まぁそんな僕でも、「ブレイブ・ストーリー」と「ゲド戦記」、どっちがお勧め?と聞かれたら「ブレイブ・ストーリー」の方をお勧めしますが…。


僕の見方は「ゲド戦記」という作品自体の批評ではなくて、日本のアニメ界の未来を憂えてのことです。
宮崎駿パパももうお歳ですから、明日ばったり逝ってしまわれても不思議はないわけです。
そうしたら、その後のジブリを支えてアニメ作品を作り続ける人が必要なわけで、そこに宮崎ジュニア吾朗が引っ張り出されてきたわけですな。(このへんの人事の是非については内情を知らないのでコメントを控えます。とにかく誰かが監督をやらねばならないということです)
そうして出来上がった「ゲド戦記」が凡作(または駄作)だとしても、いちおう「こころざし」があるじゃないですか。
僕はこの「こころざし」の部分を買いたい。
「こころざしの高い駄作」と「こころざしの低い駄作」を絶対に同じに扱ってはいけない。
高く飛ぼうとして失敗したものと、飛ぶ気もなくてダラダラやってるものと、全然違う。

本音を言ってしまうとね。

5年後、資金繰りに困ったジブリが萌えアニメを作って糊口をしのぐ…そんなのは見たくないんですよ!!
「クラリス育成計画」とかエロゲー出したりするジブリは見たくない!!
宮崎駿パパもさんざんロリコンだとか陰口たたかれながらも、こころざしを高く掲げてけっして折れなかったから、一部のアニメおたくだけではない一般層の人たちの評価を受け、アカデミー賞を受けるほどの作品を生んだ。
これは日本アニメの宝ですよ。
宮崎駿の才気ほとばしる作品は宮崎駿一代きりで、彼がいなくなったらそれまでだけど、この「こころざし」は受け継いでもらいたい。
(ここではジブリアニメに絞って話しましたけど、フジTVスポンサードの「ブレイブ・ストーリー」など他社もこころざしの高い作品が増えるのは大歓迎っす)