ゆ き と の 書 斎

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レビュー(映画)

2001年10月17日
「エスケープ・フロム・LA」「HOUSE」他

 
「エスケープ・フロム・LA」

監督ジョン・カーペーンター、主演カート・ラッセル。「ニューヨーク1997」の続編。
「ニューヨーク1997」のファンということもあって、楽しかったっす。地震の後、津波でサーフィンしてしまうバカっぷりとかサイコー。反骨なラストも見事。

「バトルフィールド・アース」

バカ映画の賞「ゴールデンラズベリー賞7部門受賞」ということだったのでマジメな期待はしないで観たのですが、SFじゃねえだろ、これ。
メイキングでスタッフが「骨太のストーリーだ」とか「スターウォーズ、2001年宇宙の旅に匹敵するSF」とかほざいていますが、リップサービスじゃないとしたら脳神経を疑います。
設定もストーリーもなんのひねりもない上、つっこみどころ満載。「人類は我々の攻撃に9分しか持ちこたえられなかった」とか言ってるくせに、後半遺跡から発掘されたハリアーごときにサイクロ人の戦闘機があっさりやられちゃうし。サイクロ人の呼吸する気体は放射能で誘爆するという設定の上、母星に直通のテレポーション施設が都合よくあって核爆弾送られて母星爆発しちゃうし。
僕は原作は読んでないのですが、原作は「全米読者協会で20世紀を代表するSF作品第一位」に選ばれたそうです。もし映画とあらすじが同じでこの結果だとしたら、泣きたくなりますね。「いや原作はこうじゃないんだ!」という意見の方がいたら反論してください。原作買ってきて読んだ上で評価します。

「HOUSE」
1977年東宝、監督 大林宣彦。
観たかったけどビデオ屋にもなくて、長年探していた「HOUSE」がDVD化され、ついに手に入れることができました。
7人の少女達が、夏休みに遊びに行った山奥の洋館で次々に食べられてしまうというホラー物。
なのだが、確信犯的に作り物っぽいセット(山の中のロケシーンでわざわざ背景を絵と合成したりしている)や奇妙なカットのつなぎ方で人工的でファンタジックな世界を作り出している。惨殺シーンもリアリティとは無縁。考えるに、僕には理解も想像もできない、少女たちだけの間で形成される独特の精神世界を表現したのではないかと思う。そのため全編にわたって暗さがなく、不条理な明るさが支配している。
個人的には、小林亜星が謎のデブのスイカ売りのおっさんを怪演しているのがヒットしました。時期的に考えればコンバトラーVの作曲をした頃だから、う~む、すげえおっさんだな。

本編のほかに大林監督による解説がかなりの時間収録されていて、僕はこちらの方が面白かったです。
「HOUSE」は伝統に硬直した当時の日本映画に風穴を開ける作品だったとのことです。
映画監督になるには、まず映画会社の社員にならなければならず、年功序列でだんだん肩書きが上に行って、年寄りになる頃に監督になるシステムだったこと。
黒澤も小津も社員監督で、それぞれの会社の伝統的作風の中で才能を発揮したということ。
「スターウォーズ」で映画監督を夢見た僕は、中学生の頃には日本の映画界に見切りをつけ、監督への夢を諦めました。その理由は嗅覚的になもので、はっきり「これ」という理由を言葉にしにくかったのですが、今回この話を聞いて「なるほど」と思いました。
時は戻らないので、僕が今さら映画監督にならなかったことを繰り言してもしようがないのですが、問題は「現在」日本映画界の体質が改善されたのかどうかですよね~。
少なくとも80年代末の「ガンヘッド」の時には悪しき体質が残っていたようでしたが。その後はほとんど邦画を観てないのでよく知りません。