ゆ き と の 書 斎

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レビュー(映画)

2001年05月25日
「インビジブル」「人狼」他

 
観たビデオ(DVD):

・「インビジブル」
……内容なし。透明人間になってチカンをし、それがバレて人殺しするというスケールの小さい話。特撮は凄し。まさに見せ物映画だが、元々映画は奇術や見せ物小屋と同じレベルの興業だったのだから、原点回帰したというべきか?

・「MI2」
……何も考えないで楽しめた。ジョン・ウーの映像の詩を堪能しました。

・「レッド・プラネット」
……個人的には期待していただけに残念な出来だった。中途半端にリアルな設定のために、シナリオライターに科学知識がないのがもろバレになっている。人物造形、ドラマもたるい。一体彼らは火星まで何しに行ったんだ?

・「さくや 妖怪伝」
……欠点多し。よくできたスペクタクル特撮シーンと、ちゃちな着ぐるみ妖怪のギャップがきつい。設定や筋はシリアスなのに一部子供っぽいマンガみたいな表現があったり、まあ、邦画作品が陥りがちな欠点をいろいろ抱えている。それらに目をつむれば楽しめる。世界に出しても恥ずかしくない演出で統一した続編を作ってほしい。

・「人狼」
……前評判に違わず、今回観た中では一番面白かった。今まで僕は犬狼伝説ものは実写「赤い眼鏡」「ケルベロス」藤原カムイさんの漫画「犬狼伝説」(1990年版。最近描かれたという新作は読んでいない)を観ましたが、今回の「人狼」はそれらの集大成とも言える出来だと思いました。(犬狼伝説の歴史の中では外伝みたいなエピソードみたいですが。)
インタビューの中で、押井氏が「(昭和30年代には)世の中を自分たちの手で変えていけるという可能性がリアルな選択肢としてあった……それをなんとかして今の時代に伝えたい」というようなことを言っていますが、作品の内容とギャップがあって面白かったです。

自分もそうですが、作家というものは口で言うことと作品中に現れるものが大きく食い違うことがあります。これは嘘をついているのではなくて、一癖も二癖も屈折しているために自意識と潜在意識が遊離するために起こる現象です。反射的に喋っている時は社会的なペルソナが現れて人格の主導権を握るため、潜在意識(創造を司る意識。右脳思考といってもいい)でやっていたことを忘れてしまうのです。こう書くとなんだか二重人格みたいですが、記憶がとぎれない以外は作家は皆似たようなものかもしれません。