ゆ き と の 書 斎

気まぐれゆきと帳過去ログ一覧

作品について

2009年03月16日 台湾の「銃夢殺人事件」

仕事が追い込みに入るころ、とんでもないニュースが。

> 「殺人で厄落としを」日本の漫画まね、3人を殺傷…台湾
> 【台北=源一秀】台北市内で9日、失業中の男(35)が自暴自棄になって3人を殺傷
> する事件があった。
>
> 調べに対し、男は「日本のSF漫画『銃夢(ガンム)』をまねてやった」などと供述、
> 台湾社会に大きな衝撃が走っている。
>
> 地元紙・自由時報(10日付)などによると、男は部屋を借りると偽ってマンション経
> 営者(51)に近づき、下見に訪れた部屋で経営者を金づちと刃物で殺害。経営者宅でも
> 妻と子を襲って負傷させた。男は経営者と面識はなかった。
>
> 男は約500万台湾ドル(1400万円)を友人にだまし取られたうえ、1年間以上、
> 失業状態で、「銃夢を読んで、殺人で厄落としできると思った」と話しているという。
>
> 作品には「恐怖と苦痛を他人に与えれば、よりよく生きられる」といったせりふもあ
> り、警察は、男が作品に触発された可能性があると見ている。
>
> 「銃夢」は木城ゆきと氏が1990年代、集英社の漫画雑誌に連載した人気作品。現在
> は続編「銃夢 ラストオーダー」が連載中で、台湾でも両編ともに翻訳版コミックが出版
> され、人気を博している。サイボーグ少女が敵を倒すSFアクションで、残虐な表現や殺
> 害シーンも多数含まれる。
>
> 集英社広報室は「事件自体を承知していないので、コメントのしようがない」と話して
> いる。
>
> (2009年3月10日21時19分 読売新聞)


まずは被害者の方のご冥福をお祈りします。

僕が「銃夢」「銃夢LO」で描いている物語のなかで言いたいことは、
ものすごく簡単に言ってしまうと、
「どんな逆境にあってもくじけるな」
ということです。
こんな言葉は作中のどこにも書いてないけどね。
ちゃんと読めばわかるはずだと思っています。

2009年03月22日 

※台湾の事件その後※
この件で励ましてくれたファンの方々、ありがとうございました。
この件では、僕はゆきと帳にうかつなことを書いて舌禍を招かないように釘を刺されていたのですが、言いたかったことはBBSで皆さんに代わりに言ってもらいましたね。

台湾で銃夢を翻訳出版している東立出版社が独自に調べたところによると、犯人を取り調べた刑事は「犯人は”日本の漫画を読んだ”と自白したが、どの作品か言わなかった。」ということらしいです。
最初に台湾で「銃夢を読んで犯行の参考にした」と報道した自由時報は、「消息筋の伝えるところによる報道だった」と述べて、じゃあ銃夢というタイトルはどこから出てきたんだ?…という話になっているそうです。
台湾で矢面に立っている東立出版社は、状況によっては自由時報を訴える可能性もあるとのこと。
現地で僕の代わりに戦っている東立出版社の関係者の方には本当に感謝します。
「銃夢を参考にした」という部分が誤報だったと確定したとしても、まあメディアは訂正記事も謝罪もしないでしょうね。