集金ポーチリメイク of 茶房・風雲庵

レザークラフト作品ギャラリー

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このコーナーでは管理人が手作りした革小物を公開しています。

#0027 集金ポーチリメイク


18.jpg2012.01.12
私のいとこに当たるK兄ちゃんからの依頼を受け、長年愛用してきたという古い集金ポーチをリメイク。2011年11月20日から始めて(途中仕事や雑用をはさみつつ)2012年1月12日にやっとこさ完成。

実はK兄ちゃん(私よりずっと年上で「兄ちゃん」などという歳でもないのだが、昔からこう呼んでいるので便宜上そう呼ぶ)から直接依頼があったわけではなく、実家に帰った時にうちの両親から話を聞き、革製のポーチを手渡されたのだった。そのためポーチの詳細は不明なのだが、10年以上は使い込んだモノらしい。表面にはきれいに唐草模様とトリの絵がカービングしてあり、フチはぐるりとレースでかがってある。マチはピッグスウェード、内張りはアメ豚を使ったごくシンプルな構造。大きさはちょうどB4判ぐらいの大きさで、集金ポーチと言うよりはA4判の書類を入れるための書類ケースとして作られたモノだろう。

カービングはとても美しいが、私が見たところプロの職人が作った商品ではなく、レザークラフト教室の生徒の作品といったところか。とは言えB4の大きさいっぱいにカービングされ、染色もされているのだから、かなりの力作であることは間違いない。だがしかし長年使い込まれ、カービングされた胴体の牛革は無事なもののマチはヨレヨレ、フチのレースもスリ切れてちぎれ、ファスナーを縫いつけた糸も切れていて補修されている。

01.jpgリメイク作業前の写真。B4の大きさがあり、集金ポーチというよりは書類ケースのたぐい
そこで今回のリメイク依頼の内容は、胴体のカービングを活かしつつ集金ポーチとして「小さく」仕立て直してくれというものだった。このきれいなカービングにザックリと刃を突き立てるのはいささか気が引けるが、どのみちこのカービング革はインレイコレのトカゲ革のような使い方)にでもするしかなさそうなので、ここは覚悟を決めて取り組むことにした。

元の大きさよりひと回り小さいA4サイズにして、手に持って下げられる持ち手をつけて、できるだけ頑丈に……などと簡単に決めただけで始めてしまったのだが、いざ始めてみると材料が足りなかったり、集中力が切れて細かいミスを連発したり、さらには持ち手をどう本体とつなぐかで最後まで頭を悩ませた。結局、革の持ち手はあきらめて極太のアクリルひもを結びつけ、ややカジュアルな仕上がりに。

今回ばかりは「失敗しました」では済まないので意地でそれなりに仕上げたが、集金ポーチと言うにはまだ大きくゴツくて重いし、細部のミスも相まってど〜もスッキリしない完成になってしまった。(-_-;

本体 …… 牛サドルレザー 2mm/1.6mm
内張り…… ピッグスウェード
芯  …… テキソン厚 伸び止めテープ
牛端革 クラフトレース ビニモ0番 ファスナー4号/3号 ギボシ ホック大 ハトメ♯23 アクリルひも2400番

02.jpg作業前のポーチ内部。内張りはアメ豚。あちこちが劣化していてボロボロ。03.jpgフチの牛レースは手でちぎれるほど劣化。ハサミでジャキジャキと切り取る。04.jpgバラバラに分解したポーチ。リメイクに使うのは胴体のカービング革だけ。05.jpgまずはステインリムーバー(革クリーナー)でカービング革をクリーニング。
06.jpg続いて油分補給にピュアホースオイルを塗布。07.jpg2mm厚サドルレザーで補強用の枠を切り出す。裏からカービング革を張り付ける。08.jpg上から持ち手(結局使わず)ファスナー口、左右マチ。内張りはピッグスウェード。09.jpgヌメ革は「鉄染み」という黒いシミが付くので、レモン汁で取り除く。
10.jpg銀ペンでA4の大きさに線を引き、カッターで切り出す。ああもったいない…。11.jpg下部分を伸び止めテープで留め、接着部分を紙やすりで荒らしておく。12.jpgサドルレザーの補強と接着し、窓部分の周囲をぐるりと縫っていく。13.jpgファスナー口とマチを接着してレースでかがる。この時の穴開けで失敗連発…。
14.jpgかがりは「トップブレードステッチ」にするつもりが単なる「トリプルステッチ」に。15.jpg中の仕切りを兼ねたファスナーポケット。ホックで取り外すことができる。16.jpgファスナーポケットを取りつけたところ。しかし外しづらいので意味なかったか。17.jpg極太ナイロンひもを結びつけて完成。集金ポーチにしてはゴツくてデカ過ぎる。