シガレットケース of 茶房・風雲庵

レザークラフト作品ギャラリー

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このコーナーでは管理人が手作りした革小物を公開しています。

#0029 シガレットケース


10.jpg2012.01.23
今年の新年1発目レザークラフトは、両親の誕生日プレゼントとして作ったタバコ入れ。紆余曲折あって1月23日に完成。

うちの両親はふたりとも1月生まれ。しかも両方辰年生まれということもあり、何か作ってやらねばなるまいなーと思っていた。さらには都合よく今月1月は仕事が休み。昨年の年末が大変だった分、今月はガッツリとレザークラフトに打ち込むことができる。

だが、最大の問題点はうちの親父である。レザークラフトの記事ではすでに何回か同じことを書いているが、うちの親父はモノを持ち歩かない主義なのだ。とりあえず小銭入れくらいは持っているようだが、カバンなどもってのほか、ウエストバッグなども身に付けない。実にレザークラフター泣かせなのである。

ところで余談だが、今年の初詣に家族で笠間稲荷に行った時のこと。実家のステップワゴンを私が運転したのだが、見ると車内にタバコとジッポーが置いてある。ふーん親父ジッポーなんて使ってるのか……と思ったのだが、後でああなるほどと合点がいった。レザークラフトでもナイロン糸を焼き留めるのにライターを使うが、最近の100円ライターは子供のイタズラ防止のためCR(チャイルドレジスタンス)と称して着火ボタンがやたらに堅い。うちの親父はクモ膜下出血を患ってから手に力が入りにくいので、最近の100円ライターは使いにくいのだろう。そこで昔から変わらないジッポーを使うわけだ。

そんなことを思い出し、それならばと喫煙者の両親が常に持ち歩くタバコ用レザーケースを作ることにした。

05.jpg父親用と母親用に色違いでふたつ製作。
今回は初チャレンジとして、エイ革を使ったインレイに挑戦してみた。技法書にもちょくちょく出てくるエイの革(日本刀の柄に使われることもよく知られている)だが、他のホ乳類・爬虫類・魚類とはまったく違っていて、表面は堅いカルシウム質のつぶつぶに覆われている。カッターや革包丁では切れないので、ギザ刃の万能ばさみでバリバリと切る。変わっていてなかなか面白い。

また今まであまりやったことがなかったが、今回のタバコケースは鹿ひもとビーズを使ってアメリカンクラフト風に仕立ててみた。

しかし今回も根本的な問題に気付かず作り始めてしまい、作り直すことに。そもそも私はタバコを吸わないため、タバコのことをよく知らなかったのだった。ずいぶん昔に写真撮影時の大きさ比較用に買ったハイライトを元に作り始めたのだが、後になって長い箱入りのタバコがあることを知って、設計からやり直すことになってしまった。

そんなわけで結果的に試作を含めると5個ぐらい作ってしまったのだが、仕上がりは個人的に満足。本当はライターの収納部分も作りたかったのだが、それをやると大きくなりすぎるので今回は見送り。とにかく最近の私のレザークラフトは(自覚はないのだが)高度なことをやろうとし過ぎるのか、設計にやたらに時間がかかるし失敗は多いしで、もっと集中して取り組むようにしなければ。

本 体  …… 牛ミラノ 2mm/1mm
インレイ …… エイ革
芯 材  …… のり付きペフ スライサー
ビニモ5番 ラミー糸♯20 鹿革レース ヤギ革 マグネット オールドケネディコインコンチョ(1971)
ガラスビーズ ボーンビーズ メタルビーズ 天然石ビーズ(ターコイズ、アベンチュリン) 携帯灰皿

01.jpgしっとりとして軽く、値段もリーズナブルな牛ヌメ革「ミラノ」を切り出す。02.jpgエイ革を大きめに切り出し、フチをヤスリでガリガリと削って薄くする。03.jpgインレイのアンコにのり付きペフ(スポンジ)を貼る。上からスライサーでカバー。05.jpg仕上がったシガレットケース。上にある円筒形のものはアルミ製の携帯灰皿。
04.jpgアルミ削り出しの携帯灰皿は触ると冷たいので、ヤギ革を巻いてみた。07.jpg留め具はマグネット。ロングサイズのボックスタイプもスッポリと収納。

08.jpg背面にはtaspo(成人識別システム)カードのためのカード入れを装備。
06.jpgオールドケネディコンチョも赤の方がプレーン、緑の方がいぶし銀仕上げ。