ワンショルダーボディバッグ of 茶房・風雲庵

レザークラフト作品ギャラリー

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このコーナーでは管理人が手作りした革小物を公開しています。

#0039 ワンショルダーボディバッグ


001.jpg2014.3.7

うちのオヤジ用に製作。2月の上旬から設計を始めて3月7日に完成した。製作に約1ヶ月かかってしまったが、そのうち半分の約2週間はラフ画と設計に費やしたという苦心作。

オヤジが病院通いに使っているナイロンバッグが微妙に大きいとのことで、小ぶりなバッグが欲しいという話は去年のうちから聞いていた。小ぶりな男性用の革バッグと言えば、最近街でよく見かける、たすき掛けタイプのボディバッグがよかろうということで設計を開始。まず完成形のラフ画をカレンダーの紙の裏に描き始めるが、これが二転三転してなかなか決まらない。

002.jpg最近流行りのワンショルダースタイルのバッグ今回はスマートなタテ型にしようと決めたものの、形を丸くするか四角くするか、革を2種類を使ってツートンカラーにするか単色にするかなど迷いに迷い、デザインが決まるまでに2週間もかかってしまった。体と接する背面には、今回用意した目玉素材「ナイロンメッシュ」を使うと決めていたので、背面のフチをパイピングでくるむタイプに決定。バッグ本体は奇をてらわず、使いやすくシックなスクエア型に。ポケットはたくさんいらないと言うことだったので、前面にデザインアクセントとしてひとつだけつけてみた。

さらに使い勝手を考えて、1番上に持ち手ベルトを取りつけてみた。持ち手ベルトをつけると壁に掛けたりすることができるワケだが、万が一にも本体から外れたりしないようしっかり作らねばならない。完成したバッグは500mlペットボトルがギリギリ2本入るかどうかという大きさだが、おそらくは3kgぐらいのものを入れても大丈夫だと思う(試してないけど)。

004.jpg今回の目玉、背面にナイロンメッシュ素材を使用本体に使用した革は、揉みシボと半ツヤ具合が革の風合いたっぷりなバングラキップ(コブ牛の子牛)革。コブ牛の革はコブのデコボコのせいで革質が均一じゃないためか、価格的に安いのが嬉しいポイント。そして今回も大活躍した手動革漉き機「シャーフィックス」なのだが、今回はシャーフィックスの機嫌がすこぶる悪く、革の床面(裏面)を薄く漉きたいのに、何度も何度も銀面(革の表面)に刃が食い込んでしまい、大量の革をムダにしてしまった。(>_<)

何度も何度も刃を新品に入れ替え、革が伸びないよう銀面にマスキングテープを張って臨んだものの失敗に次ぐ失敗。135デシあった革の1/3くらいがゴミになってしまった(1デシは10×10cm。135デシはタタミ1畳の4/5くらいの大きさ)。

私の漉き方が悪いのでなければ、どうやら今回使ったバングラキップ革、それが場所によって革の密度が極端に違うがために、刃があらぬ方向に行ってしまうのが原因だと思われる。今回の場合は伸び止め用のマスキングテープは張らない方が失敗が少なかった。テープを張らずに漉くと革が伸びるのだが、伸びた部分を床面から水に濡らして平らな机に張って自然乾燥させると、伸びがだいぶ戻るというのも今回の発見だった。

003.jpgiPodクラシックと大きさ比較。かなり小ぶりこのバッグはカジュアルなものなので、コバの磨きなどいつもならピカピカに仕上げる部分も、今回は1度軽く磨いただけでラフな感じに仕上げて製作の進行を優先させた(わりには時間がかかったが…)。しかし製作中に型紙の寸法が間違っていることが発覚して冷や汗をかいたり(笑)細かいパーツを何度も作り直したりと妙な苦労もしつつも、今回は時間をたっぷりかけられた大作レザークラフトだったので楽しんで製作できた。

今回のバッグの重量は445gと小ぶりなわりにやや重めだが、持った感じは全然問題ないレベル。キュッとした凝縮感としっとりとした革の質感を楽しめるバッグに仕上げられたと思う。



本 体  …… バングラキップ 1.2mm 栃木レザー(牛オイルプルアップ) 1mm、1.5mm
背 面  …… ナイロンメッシュ 牛タンロー 1.5mm
裏 革  …… ピッグスウェード
布ワッペン スライサー薄 ナイロン糸(ベージュ) ビニモ5番(コゲ茶) アクリルバンド 厚さ2mm 幅30mm
ファスナー5号 バックル マグネット Dカン 角カン コキカン ナスカン カシメ大・特大

005.jpgポケット用のベルトとパイピング革。ベルトにはマグネットを取りつけてある006.jpg今回も大活躍のシャーフィックス、しかし機嫌が悪くて大量に失敗してしまった007.jpg前胴部分にポケットのカブセを縫いつけたところ。この後ポケットを縫いつける008.jpgマチ上半分のダブルファスナーの縫いつける。曲尺にクリップではさんで作業
009.jpg裏革はピッグスウェード。本来は高級素材だが、今回は非常に安価な革を使用010.jpg今回の目玉素材、ナイロンメッシュ。これで夏場でもベタつかないバッグに011.jpg肩ベルトの根革と、上部の持ち手ベルトをガッチリと背面芯に縫いつける012.jpg胴とマチの縫いつけ。コバは染色したのち、蜜ロウをしみ込ませて仕上げ
013.jpg背面と胴体の取りつけ。周囲をパイピング革でぐるりと覆って縫いつける014.jpgナイロンメッシュの背面。背面の芯材にはヌメ革のタンローを使用した015.jpg肩ベルトをつなぐDカンの根革をカシメで留める。左右に2ヶ所つけておいた016.jpg仕上げにファスナーの引き手をつける。実は引き手のデザインは地味に難しい