羊革スウェードキャップ of 茶房・風雲庵

レザークラフト作品ギャラリー

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このコーナーでは管理人が手作りした革小物を公開しています。

#0022 羊革スウェードキャップ


013.jpg2011.02.25
昨年、ショルダーバッグやスリムリュックを作ってみて思ったことがひとつ。それは、内張りまですべて革を使うと重さがズッシリ重たくなってしまうということだった。これを軽くするには、やはりを使いたいところ。しかし布をチクチクと手縫いする気にはなれないので、2011年1月の仕事明けにミシンの購入に踏み切った。

とは言え当然ながら、私はミシンなど生まれてこの方さわったこともない超ド素人。ミシンも下は数千円から上は数十万円とピンキリで何を買えばいいのかサッパリわからなかったが、仕事の合間にネットで調べ続け、最終的にシンガーのコンピュータミシン「モナミ・ヌゥSC-100」に絞り込んだ。

SC-100は普通の家庭用ミシンなので厚くて堅い革は縫えないが、レザー用ミシン針とテフロン押さえを使えば薄い革なら縫える、と言うことで、ミシン練習の手始めに薄い革で帽子を作ってみることにした。私はファッションに興味がなくセンスもない人間なのだが(長いこと坊主頭のせいもあり)帽子は好きで、外出時は必ずかぶっている。また頭のサイズが妙に大きいこともあり、自分サイズのものが自分で作れるならいろいろと好都合だ。

i002.jpg試作として作った牛シュリンク革製キャップ

と言うことで、まずはリーズナブルな牛シュリンク革(黒)を使って帽子作り開始。この革は厚さ0.8mmと、今まで使ったことのある革の中ではダントツの薄さ。このくらい薄い革になると、手縫いで使うヒシ目打ちで穴を開けるとそこから裂けやすくなってしまうため、手縫いよりミシン縫いに向いているらしい。

またよくわからないままネットで布(内張り用)も購入し、さっそくミシンで縫ってみる。だがやはりミシン初心者、まっすぐ縫うだけでも難しくて縫い目ガタガタ。また革も縫ってみるものの……スベリが悪く、厚みがあって四苦八苦。特に布と違い、革は1度縫い穴を開けてしまうとやり直しが効かなくなる。シロウトがいきなり挑戦するには、革のミシン縫いは敷居が高かったか。

特に革を折り曲げて4枚ほど重なっている箇所は、ミシンの針が止まってしまったり糸が絡まったりして中断を余儀なくされてしまう。そもそも3次元曲面からなる帽子はただでさえ尋常じゃなく縫いづらい!糸が切れたりしつつやっとのことで最後まで作ってみるも、サイズが小さすぎたり大きすぎたりして失敗。しかも牛革のせいかズッシリと重い……これでは元も子もないので、型紙からの作り直しを4回ほど経て、次にもっと薄く柔らかい羊のスウェード革で作ってみることにした。牛革は革の中では重い方で、羊や鹿、豚といった革は軽いという特徴がある。値段もさらに安く、またスウェードなのでオシャレに仕上がりそうだ。

スウェード革はペラペラなので、布に近い感覚でとても縫いやすい。だが帽子作りで最も難しいポイント、クラウン(頭を入れる本体部)とブリム(つば)の縫い合わせがキレイに出来なくて悶絶。ここまで牛革で4回、スウェード革で2回の失敗!手縫いのレザークラフトに比べるとさすがミシン縫いは早く完成まであっという間だが、レザークラフトやり始めてここまで失敗を繰り返したのは今回が初めて。スウェード革3度目のチャレンジにしてなんとか完成にこぎ着けたが、まさかまさか、これほど帽子作りが難しいとは思っていなかった。

ただ完成したのも一応かぶれるものが出来上がったという程度で、点数としては60点ぐらい。もう少しサイズ的にもピッタリして、シャッキリとした仕上がりのものを目指したい。

本体 …… 羊革スウェード 0.7mm
内張り…… T/Cブロード
芯  …… 帽子用ポリ芯1.5mm スライサー厚 布ワッペン 牛端革2mm
ベルト…… 牛イタリアンオイル 2mm
サイズテープ30mm ハトメ#500 カシメ特大・大 ギボシ小 

001.jpg左からブリム芯、内張り布、スウェード革2色。この他にブリム用の革も用意する。002.jpgクラウンの前部と後部を縫う。ブリムを縫うためここで止めておく。003.jpgブリム芯の両面にスライサーを貼り、ボリュームをつけて手触りを良くする。004.jpgブリム用の革を中表で縫い、芯を接着してから裏返してブリムの完成。
005.jpgここが1番の難所、クラウンとブリムの縫いつけ。縫う前にホチキスで仮留めする。006.jpgミシンで完全に縫うとシワが寄って失敗してしまうので、両端を残して中央だけ縫う。008.jpgミシンで縫い残した両端部分を手縫いして、クラウンとブリム縫いつけ完了。009.jpgクラウン後部を縫いつけ、クラウン前部内側に黒い布ワッペンを貼ってハリをつける。
010.jpg縫い上げた布の内張りを入れ、サイズテープと一緒にブリム部分だけ縫いつける。011.jpg表革と内張りの間に端革を入れてハトメを打つ。頭頂部にも革で包んだカシメを打つ。012.jpgサイズ調整用ベルト。革っぽさを残すため、コバ・裏処理をせず切りっぱなしに。014.jpgサイズテープの残りをクラウンに縫いつけ、ベルトをカシメで留めて帽子完成!
015.jpgサイズ調整は金属製ギボシ3つで留める方式。バックルだと重いのでギボシにした。016.jpgスウェード革にはオイルを塗れないので、防水スプレーをかけてフィニッシュ。