ナビケース of 茶房・風雲庵

レザークラフト作品ギャラリー

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このコーナーでは管理人が手作りした革小物を公開しています。

#0023 ナビケース


06.jpg2011.03.26
東北関東大震災発生から4日後の3月15日に自宅に戻ったものの、計画停電があったりして、ミシンなど余計な電気を使って帽子を作るのもいささか気が乗らなかった。しかし何もしないのも落ち着かないので、モヤモヤした気分のまま、やむを得ずバイク用のポータブルナビゲーション用ケースを手縫いで作ることにした。これなら停電中でも作り続けることができるからだ。

ところでナビケースと言えば、すでに去年の春に作った初代のものがある。初代ナビケースは1度台風のような大雨に遭遇し、その時は見事な防水性能を発揮して中のナビを雨水から守り抜いた。しかし1枚革で作ったヒサシが雨水でベロベロにたるんでしまった。またこれは作った当初からの欠点だったが、透明フィルムにシワが寄っていてすこぶる見づらい。いずれ作り直すつもりだったので、今のうちにやってしまおうと考えたのだった。

n004.jpg昨年春に作った初代ナビケース
初代のナビケースは、柔らかめのイタリアンレザー・ブルガノを使ってムリヤリ内縫いにしたものだったが、今回はなるべく頑丈にするため、牛サドルレザーを用意。コゲ茶色という今まで使ったことのない色をチョイスしてみたが、革らしい高級感が出てイイ感じに仕上がったと思う。

また防水加工を完璧にするため、サドルレザーの内側に液体ゴムを塗ってみた。また背面とヒサシには、芯にアルミ板を挟み込んで強化。これで雨にぬれてフニャフニャになってしまうことはないだろう。窓に使った透明フィルムは多少堅めなので、シワにならずディスプレイはクッキリ。さらにナイロンファスナーを使ってダブルファスナー(引き手がふたつあるファスナー)に仕立ててケーブルの取り回しに対応した。

……といろいろ工夫を凝らし、寸法的にもバッチリだし完璧だと思ったのだが、ファスナーの口がいささか小さすぎてナビの出し入れに四苦八苦。またバイクに取り付ける際、電源ケーブルのUSBミニ端子を背面から差し込むのだが、これがまた狭すぎてやっかい。仕上がりには満足しているが、今回は使い勝手に課題が残ってしまったようだ。


本体 …… 牛サドルレザー 1.2mm
内張り…… 牛ベロア
芯  …… アルミ板
透明フイルム 液体ゴム ナイロンファスナー エスコードナイロン糸 カシメ小

01.jpgケースの中の黒いのは、ナビを固定するためのマウント。02.jpg上から見たケース。コバは熱したコテで蜜ロウを塗り込む方法を取った。03.jpg背面の黒いパーツは、ワンタッチで取り外しできるアタッチメント。05.jpgファスナーの引き手はダブルにして、金属の引き手を外して革ヒモを結んだ。
07.jpg初代との比較。大きさはほぼ変わらないが、今回のはカッチリとした仕上がり。08.jpg今回の2代目は、ファスナー口が下半分にあるので防水性は高まっている。09.jpgバイクに取りつけたところ。太陽が背後にあると、窓が反射して見づらい。10.jpgナビのマウントアームはウインドシールドの枠に取り付けてある。