#0036 バングルウォッチ
2013.3.29
うちのオヤジ用と自分用に製作。数日を型紙の調整に費やした後、3月26日から始めて29日に完成。
このレザークラフトコーナーではたびたび言ってるが、うちのオヤジはモノを持ち歩かない・身に付けないという困り者である。毎年誕生日近くなるとプレゼントに頭を悩ませるのだが、今年は最終手段として手作り革ベルトの腕時計というのを思いついた。腕時計なら身に付けるのも手軽だし実用的だ。
しかし相手は70を越えた老人、いくつか注意しなければならない点がある。重量がなるべく軽いこと、過去にクモ膜下出血をやっているので付けやすいベルトにすること、老眼なのでできるだけ見やすい文字盤であること、などだ。
重さについては、よほど変な作りにしない限り金属ベルトより重くなることはないだろう。ベルトの装着しやすさについてはいろいろと考えたのだが、ネットで調べるうちにDバックルなるものを発見。これは金属ベルトの開閉機構のようなシステムを革ベルトにもつけられる便利商品。値段も種類もいろいろあるが、ボタンでワンタッチに開くことのできる観音開き式(松重オリジナル)を用いることにした。
だが意外な難問だったのが、見やすい文字盤の腕時計を見つけることだった。むろん腕時計は値段を度外視すれば星の数ほど種類があるが、10万とか100万とかするような腕時計は論外である。今回の予算は材料費とバックル代、時計代すべてひっくるめて1万円以内だ(笑)。Dバックルが3千円するので時計本体は5〜6千円以内の安物となるのだが、その中でアラビア文字がクッキリとプリントされているものがなかなか見つからない。また針のデザインもやたらに細かったり穴が空いてたりして見づらいものばかり。意外と素直なデザインのものが見当たらないのだ。
それと最近の腕時計の流行は、どうもケースの直径が4cmもあるようなデカ時計らしく、Amazonで見てておっ良さげなデザイン…と思うとこうしたデカ時計だったりする。4cmはいくらなんでもデカ過ぎだ。そんな中、例外的に値段も安く文字盤も見やすいのがミリタリーウォッチのカテゴリーだが、自分が作りたい革ベルトは写真にある通りレザーバングル(ブレスレット)タイプだったので、ミリタリーは合わないと思い除外した。
オヤジ用と自分用にふたつ製作。最終的に選んだのが、シチズン・レグノのソーラー腕時計。文字盤の見やすさだけでなく、ケースの大きさが大中小と3種類もあるのがポイント。購入したのは中サイズ(レディースサイズ・ケース径3cm)なのだが、ベルト幅が18mmあるのでレディースサイズに見えないのが良い。ケースが3cmなのもバングルウォッチにちょうどいい大きさ。
さていざ製作にとりかかってみると、腕時計の革ベルトはミリ単位のズレが致命的になってしまうため、なかなか神経を使う。サイズ調整と位置決めが非常に難しい。そして今回はオリジナル要素として、時計を固定するベルトの留め具にギボシを使った。ふつうバングルウォッチというと小さいコンチョ留めがほとんどなのだが、あまりハデにしてしまうと(自分もイヤだし)オヤジが恥ずかしかろうと思い、ちょっと他で見ない武骨な留め方にしてみた(ソーラー時計なので取り外す必要はないのだが)。
本体ベルトにはスタンピングを施し、さらにアンコを仕込んでベルト中央部が盛り上がる立体的な造形に。裏革を貼ってナイロン糸で縫い上げたら、コバを磨いてコバインクで重ね塗り。ミンクオイルを塗ったあと時計本体とDバックルを取り付けて完成。自分としてはまあまあナットクの出来。あとはオヤジが気に入ってくれるかだが果たして。
本 体 …… 栃木レザー(牛オイルプルアップ、サドル) 2mm、1.5mm
裏 革 …… 牛サドル 0.6mm
ナイロン糸 スライサー薄 布ワッペン ギボシ小 腕時計(シチズンレグノ) Dバックル24mm