羊革スウェードショルダー of 茶房・風雲庵

レザークラフト作品ギャラリー

title.jpg

このコーナーでは管理人が手作りした革小物を公開しています。

#0024 羊革スウェードショルダー


004.jpg2011.04.27
今回作ったのは「母の日」用プレゼントのショルダーバッグ。母親用に作るバッグとしては第2弾になる。

プレゼント用バッグと言えば、かつてレザークラフトを始めたばかりのころにトートバッグ作りにチャレンジしたことがあった。あれはカジュアルバッグとしては記念すべき第1作目だったのだが、まだバッグというものに関する知識も技術も乏しく、まるで清水の舞台から飛び降りるような覚悟で必死に作り上げた作品だった。しかし悲しいかな、2mm厚のバッファロー革に豚スウェードの内張りを貼り付けたトートバッグは70歳になる母親には重すぎたようで(^^;、現在では実家の部屋の飾りになってしまっている。

今回はそのリベンジも含め、薄い革と布の内張りで軽くてちっちゃいバッグをチャチャッと作る計画を立てた。しかしいざ作り始めてみると試行錯誤の連続、けっこうな時間を費やしてしまった。4月の13日ごろから作り始めて27日に完成したので約2週間かかったことになる。

001.jpgスウェードキャップと同じキャメルの羊革を使用。側面にはファスナーポケット。
このバッグのデザインは私のオリジナルではなく、エスティーヌというブランドの「メルチェ2wayショルダーバッグ」というものを参考にしている。寸法もほぼ同様、胴に羊革スウェードを使っているのも同じ。ただし丸パクリではなんなので、こちらは胴ポケットの反対側に、ゴールデンに輝く貝のコンチョをワンポイントに据えたほか、胴のサイドにもベルトを縫いつけ、底も牛革で補強してある。

それとオリジナルの方は「2way」の名前通りベルトを短くしてハンドバッグとしても使えるようだ(なのでバックルが2つもついている)が、私の方は面倒くさいのでショルダーオンリーにした(笑)。バッグの内張りとポケット内部は布(綿ブロード)を使ったミシン仕立て。だが表に見える縫い目はすべて手縫いで仕上げている。

この手縫いの際、あらかじめヒシ目打ちという道具を木づちで打って穴を開けてから縫うのだが、今回は「いわたや」の10本目(1寸=約3cmの間に刃が10本)を本格的に使ってみた。目打ちもメーカーがいろいろあってたくさんの種類があるが、ズッシリと重く刃先が薄く鋭いいわたやの目打ちは、ブレずに楽に穴が開けられる。2本目とのセットで1万円近くするのでそう簡単にはそろえられないが、やはりいい道具を使うと作業がはかどるし気分も違ってくる。

さていよいよ完成間近という時になってハッと気付くと、胴体のスウェード部にシミがついてしまっているではないか!机か指先に油分がついていたのが原因のようだ。ベルトなど牛革を使ったパーツには保護のためにオイルを塗ったりするので、どうしても油分と無関係ではいられない。こんな時のためにとスウェード靴用の洗剤もあるのだが、説明書を読むと色まで落ちてしまうらしいのでむやみに使えない。

どうにかならんものかとネットで調べていたら、なんと消しゴムでシミが落ちるという記述を発見。半信半疑で手元にあったMONOの消しゴムでこすってみると……確かにシミが薄くなった!スウェード表面にダメージが残ることもなく、こすっているうちにどんどん消えてしまう。スウェードのシミはプロでも手こずると聞いていたので、これにはビックリ。スウェードのシミで悩んでる方がいたら、ぜひ消しゴムを使ってみることをオススメする。どんな汚れでも落ちるとは思えないが、消しゴムは安いしどこでも売っている。試してみる価値はある。

本体 …… 羊スウェード 0.7mm 牛ビジュ 1.2mm
内張り…… 綿ブロード
芯  …… 不織布接着芯 テキソン厚 ポリ芯 1.5mm
バックル・カン24mm カシメ・ハトメ ファスナー3号・5号 底鋲 デザインコンチョ
麻ラミー糸#20 シャッペスパン#60

002.jpg羊革は薄くてペラペラなので、今回は裏面にアイロン接着芯を貼ってハリをつけた。003.jpg底や口、ベルトには薄く柔らかい牛革を使用。底鋲も打ったがちょっと小さすぎたか。005.jpgファスナーはYKKの最高級品「エクセラ」を使い、金具はすべてゴールドで統一。
006.jpgワンポイントのコンチョ。足(中の棒)が長すぎたのでクイキリで切って取り付けた。007.jpg内張りは綿ブロード。バッグ全体の重さが約350gと軽いバッグに仕上がった。008.jpgいわたやのヒシ目打ち。柔らかく薄い革を使ったためかスイスイと縫えた。