たすき掛けショルダーバッグ of 茶房・風雲庵

レザークラフト作品ギャラリー

title.jpg

このコーナーでは管理人が手作りした革小物を公開しています。

#0019 たすき掛けショルダーバッグ


000.jpg2010.09.15
前回に引き続き、やまさき拓味先生の仕事場のスタッフKさんからのオーダー品。8月下旬から作り始めて9月15日完成。制作に2週間以上かかった労作。

実はやまさき先生の書類バッグより先にこっちのオーダーを受けたのだが、材料調達に時間がかかることがわかりこちらは2番手になった。8月末に届いた牛キップ(生後6ヶ月から2年ほどの子牛の革)の「カーパー」はキメが細かく、傷が目立たない非常に上質な革。1デシ(革の大きさの単位。10×10cm)の単価が72円というリーズナブルな価格もうれしい。

さてKさんのオーダーは、たすき掛けのショルダーバッグ。たすき掛けが「できる」のではなく、たすき掛け「しかできない」という変わったデザインなのだが、これは私が普段から使っているデグナーのヒップバッグを見たKさんが「これだ!」とひらめいたモノ。背板とベルトが一体になっていて、身に付けると身体にフィットするのだが、なるほど調べてみてもこういうタイプのショルダーバッグは見当たらない。普通のバッグよりは変わってる方が面白いだろうとオーダーを快諾。

013.jpg裏革にピッグスウェード

しかしたすき掛けするとなるとベルトは1mぐらい必要、さらにデグナーのウエストバッグを参考にして作るため「へり返し」という技術で作ることになる。これは作る前から大変だろうなぁと思っていたが、いやはや本当に大変だった。縫った距離は今までの作品の中では最長なのは間違いない。

今回使った「カーパー」という革は厚さが1mmしかなく、裏革にピッグスウェードを貼ってもフニャフニャになってしまうと思っていた。これでは荷物を入れたら革が伸びてしまうのではないかという恐れが頭をもたげたので、裏革との間に伸び止め用の布ワッペン(堅めの布地にノリがついているもの)やスライサー(薄いスポンジ)をはさみこんだのだが、その結果かなりかっちりとしたハードなバッグになってしまった。これは反省点。

また「へり返し」に慣れていなかったので折り返す部分が足りなくなってしまったりして、だいぶシロウト臭い仕上がりになってしまった。いろいろな部分で反省点の多かった作品だが、手間がかかった分愛着もひとしお。次回からは反省点を忘れずに取り組んでいこうと思う。

本体 …… 牛キップ「カーパー」 1mm
内張り…… 豚スウェード「Pシルキー」 0.5mm
中芯 …… スライサー厚 布ワッペン
クラフトレース茶
ファスナー ビニモ0番(黄土・黄緑) 麻糸 バックル35mm マグネット

001.jpg牛キップ「カーパー」をパーツごとに切り出す002.jpg裏革のピッグスウェード。鮮やかな黄緑はKさんの要望003.jpg裏革のピッグスウェードで内ポケットを作る004.jpg前胴部分。パイピングは「カーパー」を染色したもの
005.jpg前胴とマチを中表にして接着し、縫い合わせる006.jpgひっくり返した胴体部。ファスナーで開閉する007.jpg胴体の内側。スライサーを入れて手触りを良くしている008.jpgカブセの周囲はレースのトリプルステッチ仕上げ
009.jpg背板裏面とベルト裏面をまず縫い合わせる010.jpg背板に裏面パーツを接着。周囲をへり返しする011.jpgへり返し部分に縫い穴を開け、あとはひたすら縫う012.jpg完成したたすき掛けショルダーバッグ
013.jpgカブセはマグネット留め、本体はファスナーで開け閉め014.jpg内部の内ポケット。これは前胴につけるべきだった015.jpg1mもあるベルト。正確に直線を切り出すのもひと苦労016.jpg冗談で作ったミニミニバッグと一緒に