カービングウォレット of 茶房・風雲庵

レザークラフト作品ギャラリー

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このコーナーでは管理人が手作りした革小物を公開しています。

#0013 カービングウォレット


01.jpg2010.02.22
レザーカービング作品の第1号として製作。2010年2月21日完成。

レザークラフトを始めた時から、いずれは避けて通れないと思っていたのが『レザーカービング』。革の表面に花や唐草の模様を彫ったり、いろいろな刻印を打ったりする装飾技法なのだが、やはり敷居が高い印象があって今まで手が出なかった。しかし先月までにレザークラフトの基本はやり終えたかなと思えたので、いよいよ今月は次のステップへ進むべく、レザーカービングに挑戦することにしたのである。

06.jpgカービングに使う道具類
右の写真はカービングに使う道具の一部。下の黒い台は御影石、左から自作のウェイト、線を彫るスィーベルカッター、各種刻印。この他に図案を写すトレースフィルムや伸び止めシート、カービング用の染料や仕上げ剤が必要となる。

※カービングに使う台は大理石のものを使うようなのだが、買うと4〜5千円してしまう。そこで私は御影石のタイルにしてみたのだが、これなら30平方cmの大きさで400円程度で売られている。

今月はこれらを買いそろえ、『男の革小物・レザーカービング編』などの指南書にしたがって、まずは不用になった端革で練習開始。

鉄筆で図案を革に写したあと、革の表面・裏面を水で湿らせて数十分放置。表面がやや乾き気味になったところでスィーベルカッターを使って線を彫っていくわけなのだが、キレイに線をなぞること自体がすでに難しい。カービング図案というのは線だけ見ればごく簡単なものなのだが、基本的に曲線のみで構成されており、特にウズマキ状になっている部分を彫るのは強烈に難しい。絵の仕事をしている私でも手こずる難易度である。

00.jpg習作のカービングコースター
とりあえず習作としてコースターをいくつか作ってみた。線を彫ったあと刻印を打って絵を完成させるわけだが、これまたうまく打つのが難しい。絵柄や刻印の意味を理解することもなかなかに難しい。

しばらく練習を続けてみたものの、習作ではどうしても集中力が途中で途切れてしまい、上達度がいまいちはっきりしない。そこでカービングを施した作品を、一度完成まで作ってみることにした。今まで使っていたショボいサイフを、カービングのゴージャスなサイフに作り替えてみる。

02.jpg完成したロングウォレット
今まで使っていたサイフは、私がレザークラフトを始めて2番目に作ったクラフト社のウォレットキットのもの。しかしこのサイフ、今見ると出来がヒドイ。縫い目もチグハグでガタガタ、コバの仕上げも甘い。これで「趣味はレザークラフトです」とか言っちゃうのはあまりにも恥ずかしすぎる。なので、持ってても恥ずかしくないサイフ作りを目標とした。

ただクラフト社のウォレットは札入れ、コインケースが大きく開いて非常に使いやすい構造になっている。私も半年使っていて慣れているので、カービング仕立てで作る新しいサイフも内部の構造はまったく同じように作ってみる。

04.jpgカービングを施した背面
カービングの図案は前出の『男の革小物〜』に載っていたものを拝借。正方形のコーナー2ヶ所に唐草を配置し、のこりはバスケットスタンプで埋めるスタンダードなデザインに。苦悩しつつもサドルレザーに線を刻み、あちこちしくじりながらも刻印を打つ。

意識もうろうとしながら刻印を打ち終えたところで、革用のニートフットオイルを塗り込む。それだけで色が沈んで模様が浮き立つのだが、さらにカービング用染料を歯ブラシですり込み、ふき取ってから仕上げ剤を塗ってカービング完成。なんとか形になったようだ。刻印を打つのに(ゴムハンマーを用いたのだが)ゴンゴン音を立てるので昼間にしか作業できず、ここまでで数日を要するハメに。

それと今回オリジナル要素として、ベルトで留める方式を採用。ベルトにもバスケットスタンプを打ち(幅が狭すぎていまいちバスケットにならなかったが)コンチョをワンポイントとして使う。

03.jpgサイフ内部の構造
カービングさえ出来てしまえばあとは楽勝かと思っていたのだが、クラフト社ウォレットは構造がなかなか複雑である。コインケースと札入れは外周でまとめて縫いつけるのではなく、中心部でコの字にパーツごとに縫って結合する。そのあとに外周をパーツごとに縫っていくため、縫うのもコバ仕上げもいちいちやりにくい。またベルト取り付け位置も最初のうちによく考えなければならず、意外と苦労を強いられる。

今回はさらにウォレットロープも作ることにした。厚さ1mmのリオソフトコガシを2本、3mm幅に切り出して編んでいくのだが、男の私はこれまで編み物などしたことがなかったので編み方が理解できず、これまた形になるまでが大変だった。

05.jpg取りだしやすい仕組み
今回使用した糸は、あらかじめロウ引きされたアクリル糸のビニモ0番(白)。トートバッグにも使った糸だが、ロウ引きの手間もなく、太く丈夫なビニモは一度使うとやめられない。ガッツリガツガツと丁寧に縫っていく。全部縫ったらコバをサンドペーパーで整え、レザーダイ(革用アルコール染料)のダークブラウンで黒っぽく染め上げ、トコノールという仕上げ剤を塗って乾燥ヘチマで磨く。

総仕上げとして全体にラナパーという革用ワックスを塗り込んで完成。一見するとちゃんとした製品に見えると思うので、カービング作品第1号としてはまずまずかと。あとは使い込んでいくうちに、このカービング模様がどうなるのかが興味深いところ。

本体……サドルレザー 1mm、2mm
ウォレットロープ……リオソフトコガシ 1mm
ビニモ0番 コンチョ ナスカン ファスナー ジャンパーホック特大