ユーズド加工ポーチ of 茶房・風雲庵

レザークラフト作品ギャラリー

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このコーナーでは管理人が手作りした革小物を公開しています。

#0010 ユーズド加工ポーチ


001.jpg2010.01.28
母親の誕生日プレゼント「トートバッグ」に続いて父親の誕生日プレゼントとして製作。2010年1月末完成。

私の両親はどちらも1月生まれのため、母親のプレゼントだけつくって終わりというわけにはいかない。父親にも何か作らなければ釣り合いが取れないわけだが、しかし困ったことに、父親には何を作ってやればよろこぶのかサッパリわからない。革で作るものといったら財布とかバッグ類がまず思いつくが、父親はバッグを持ち歩く習慣がない。財布もよほど気に入らないと持ち歩かないだろう。

やはりここは、タバコや小銭入れを入れておけるようなポーチあたりが無難であろうと判断した。だが女性向けのかわいらしいデザインではダメなのは目に見えてるし、かといってゴッツ過ぎて重くなってしまっては老体にムチを打つことになってしまう。

002.jpgヒビの入ったダメージ加工
そんなとき、最近買ったレザークラフト指南書『手縫いで作る男の革小物 [バイカー編] 2』に載っている「メディスンポーチ(ユーズド加工)」が目に留まった。年代物のようなシブい仕上げ処理をしたこのポーチなら、老人が持っててもそこそこカッコつくことだろう。まずなにより、作るのに必要な牛革タンローとレザーダイ(革用アルコール染料)のダークブラウン、そしてアイロンと材料・道具がすでにそろっているのが大きい(笑)。

とりあえず楽に持ち歩けるようにナイロンベルトで腰に巻くor肩掛けできるようにすること以外は、ほぼ『手縫いで〜』に載っていたものを忠実に再現した(少しだけ寸法を大きくしている)。

003.jpg裏にはベルト通し
白いタンローをレザーダイでコゲチャに染めたらアイロンをかけ、革を揉むことで表面に細かいヒビが入り、年代物のような「ユーズド感」が出るのだが、ここで細かく語るのはマズいので、詳しくは『手縫いで〜』をご覧頂きたい。

余談だがこの『手縫いで作る』シリーズ(スタジオタッククリエイティブ刊)は素晴らしい。私もこのシリーズに出会わなければレザークラフトをはじめなかったに違いない。そのくらい素晴らしい。

このシリーズ以外のレザークラフト関連書も10冊ほど読んでみたが、このシリーズのすごいところは、レザー小物を作っているプロが実際に売っている商品の作り方を公開している点(全部が全部ではないが)だ。これはたとえば、有名ラーメン店の店主がレシピを本に書いちゃってることぐらいすごいことである。大きな書店じゃないと置いてないし値段も高めだが、すべてのページでカラー写真が使われていて実にわかりやすい。レザークラフトに興味を持ったらぜひ見ていただきたい。

004.jpgタバコふたつ入るくらいの大きさ
今回の「メディスンポーチ(ユーズド加工)」も実際に売られているものなのだが、残念ながらこのポーチのキモはオリジナルコンチョの方にある。こればっかりはマネできないので、仕方なく市販コンチョでオリジナルに近いデザインを再現することにした。

ここで使っているコンチョも決してブリキ製などではなくシルバーアクセサリーなので、大1個・小12個・ビーズ2個で合計1万円以上かかっている。これらコンチョは留め金がループタイプの「ボタン式」で、穴を開けた本体裏から革ヒモで固定している。カブセの閉め方は、大きなコンチョの根元に革ヒモを巻き付けることで留める仕組みになっている。これはレザークラフトでは定番の留め方。

005.jpgカレン族のシルバービーズ
ところで革ヒモに通してあるふたつのシルバービーズ、実はこれはタイ・ミャンマーの国境に住むという少数山岳民族カレン族が作っているというビーズ。買ったあとで「カレン族……?どこかで聞いたような……」と思っていたら、なんと映画『ランボー最後の戦場』で取り上げられていたあのカレン族ではないか!軍事政権に虐げられてる少数民族がこんなビーズ作ってる余裕あるの!??と思ってしまったが、カレン族にもいろいろとあるらしい。

なんでまたこのシルバービーズを私が選んだのかというと、革ヒモに通せるような大きい穴(5mm径ぐらい)のビーズがなかなか見つからず、やっと見つけたのがこのビーズだったというわけだ。理由はそれだけで特に政治的信条に基づくものではないのだが、カレン族の人々が早く平和に豊かに暮らせるようになって、ビーズをたくさん作ってくれるよう祈るばかりである。

006.jpgこの小さいコンチョも12個で9000円!
タンロー(ピットヌメ) 2mm
ナイロンベルト
革ヒモ コンチョ シルバービーズ ビニモ0番(黄土色)