バイソンボンサック of 茶房・風雲庵

レザークラフト作品ギャラリー

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このコーナーでは管理人が手作りした革小物を公開しています。

#0014 バイソンボンサック


01.jpg2010.04.15
自分用のお出かけリュックサックとして製作。2010年4月15日完成。

ハーレーを購入して再びバイクに乗るようになってからハタと気付いたのだが、でかいツーリング用リュック(主に仕事場用)と小さいワンショルダーリュックは持っているがその中間がない。無意識のうちにハーレーディーラーでもらった背負えるナイロンバッグを使っていたのだが、これはイカニモ非常用のバッグ。ちゃんとしたリュックぐらい自分で作らねば……と思っていた矢先、狙いすましたようにレザークラフト教本シリーズの新刊『手縫いで作る男の革小物 [バッグ編]』が登場した。このシリーズには毎回先手を打たれているような気がする……やるじゃないかスタジオタッククリエイティブ。(^^;

02.jpg製作途中のポケットパーツ。コンチョにヒモ留め
さっそく『手縫いで〜[バッグ編]』を購入して見てみると、そのものズバリ「ボンサック(ワンショルダーのリュック)」の作り方が載っている。これは革物ショップとして有名な『革工房パーリィ』の製品なのだが、他のバッグではちゃんと載っている「型紙の縮尺図」がこのボンサックでは載っていない。本文をよく読むと、パーリィに200円分の切手を送ることで型紙を買えるらしい。なぜこのボンサックだけそんなシステムになってるのか?……この『手縫いで〜』シリーズは写真も豊富で素晴らしいのだが、ところどころにこういう片手落ちがあるのが気になる。

ともあれ、いちいち型紙を買うのも面倒だし写真を見れば大きさや形の見当はつく。もはや型紙がない程度で騒ぐ私ではないが、次の問題は材料の選択だ。パーリィのオリジナルボンサックはエルクスキンという大鹿の革で作られているのだが、エルクは高い上に切り売りもなかなか見つからない。レザー系ネットショップをいろいろ物色しているうちに、勢いでアメリカバイソンの革を買ってしまった。厚みが3mmもあるが、非常に柔らかいのでこれで作ることに。

03.jpg完成したボンサック。バイソンレザーがワイルド
アメリカバイソンと言うと、以前トートバッグで使ったソフトバッファローと同類かと思ってしまうが、レザークラフトでのバッファローはアジアにいる水牛のことらしい。今回使うのはバッファローよりもはるかにシボが大きく深く、ワイルドな風合いが魅力のアメリカバイソン。色は「ピーナッツ」という赤茶色をチョイス。

床面はしまりの悪い牛革の床といった感じで、繊維くずが多いのがちょっと気になるが、まあその辺を気にしないワイルドさが作る側にも求められる革ということだろう。

構造は特に難しくもないので、今回はアレンジで底と胴体の間にサドルレザー(ナチュラル)のパイピングを入れることに。またベルトの継ぎ目などにもサドルレザーを使い、オシャレなツートンカラーを狙ってみた。

04.jpgかなりムリヤリな開口部の折りたたみ具合
縫う距離が長いだけで製作はサクサクと進んだのだが、ひとつ重大な問題があった。このボンサックは開口部の閉じ方が変わっている。開口部の「□」のうち3片に巨大なハトメを打ち、1片に細長い角カンを留め、3つのハトメに角カンを通して上から(肩ひもベルトの)ナスカンをつなげる……という文章では説明しづらい留め方なのだが、とにかく問題は「巨大ハトメ」である。

ハトメというのは大きさに合った専用の打ち具が必要なのだが、『手縫い〜[バッグ編]』では(内径)18mmのハトメを使っている。18mmということは「32号」という号数のもので、これの打ち具はなんと9800円(!!!)もするのだ。また革に穴を開けるハトメ抜きも必要になるため、合計で1万円を超えてしまう。多少号数を落として小さいハトメにしても、結局5千円は下らない。ボンサックひとつのために追加工具で5千円とか1万円とか、いくらなんでも狂気の沙汰すぎる。

05.jpg背面には出し入れに便利なファスナー
どうにかならないものかと調べまわった結果、15mmのハトメ打ち具で1500円という格安のものを発見!よく利用するホームセンターのビバホームで売られていたので、難なく入手に成功した。調べればあるものである。

とりあえずガシガシと中表で縫っていって、うおりゃ!っと裏返して形になった。しかし革の厚みが3mmもあるので、開口部の閉じ方がかなりムリヤリに……まあ荷物の出し入れは背面のファスナーがあるので問題はない。バイソンの雰囲気に合ったごっついボンサックに仕上がった。

06.jpg日帰りツーリングにて使い勝手を検証中
日記で何度も書いているように、このアメリカバイソンの革はクロームなめしなので革独特の匂いがしないのが残念なのだが、やはりこのワイルドなシボの感触はさわっていて気持ちいい。まだバイソン革は少し残っているので、ワイルドな小物入れでも作ろうかと思っている。

本体……アメリカバイソン 3mm
パイピング他……サドルレザー 1.2mm、2mm
ビニモ0番 コンチョ ファスナー 鹿革ヒモ 角カン ナスカン メタルビーズ