ゆ き と の 書 斎

気まぐれゆきと帳過去ログ一覧

近況 2007年

2007年09月20日 さらにレス

9月2度目の書きこみです。

まずは告知。
日欧のイラストレーター・漫画家による合作画集「Edge2 未来の侍」の予約が開始されました。
僕もオリジナルイラストを描き下ろしています。
寺田さんとか、メビウスとか、なんかそうそうたるメンツが集まるらしいと聞いていたので
ヒィィ~(((゜д゜;)))とビビりながら、ここ10年では一番力を入れてがんばって描きました。
興味のある方は見てやってください。
公式サイト→(リンク)


銃夢BBSへのレス

> yogiさん
> エルフ・ツヴェルフのウサギスーツ、どうやって
> 着てるんでしょうか?背中とか胸にファスナーでも
> あるのかな…?

背中にファスナーがあるんじゃないですかね~。(^-^;)
絵では邪魔なディティールは省略して描いてしまうので、そのへんは自由に想像してください。


> 胸筋さん
> 最近注目している外国TVドラマなんてお題はいかがでしょうか?

僕もつーちゃんと同じで、欧米のドラマは見てなくて、中国の武侠ドラマを見ています。
いまやっている「大旗英雄伝」は韓流ドラマに影響されたかのようなメロドラマよりで、いまいち面白くないな~。
オススメはすこし前にやっていた「射チョウ英雄伝」(チョウは周に鳥があわさった字)(リンク)と「連城訣」です。


> タンニさん
> ゆきと先生の「主題歌」についてのお話ですが、最近のアニメ作品は主題歌の
> 歌詞が作品と関係ないものが多いですよね・・・
> あの時代のアニメ主題歌は熱かった(^^)

80年代後半にアニメの主題歌がニューミュージック寄りになっていった頃は、安っぽいアイドルの歌みたいのが多くていやでしたね~。
でもここ最近の主題歌はバンドのタイアップでも、作品のテーマをくみ取ったカッコいいものも多くなっているので、僕はいいと思っています。
まあ、当たり外れはありますが…。

昔のアニメ主題歌では「UFO戦士ダイアポロン」のオープニング。
これがかかると仕事中でもつい歌ってしまいます。
昔のアニメ主題歌もほとんどipodにコレクションしてますよ。


> メキシコさん
> よく子供たちにグロイ映像や、エロイものを見せるなというのがあるけど、たとえば、グ
> ロイ映像は現実って残酷なんだと実感できるので、すこしはいいかと。

つーちゃんのコメントとかぶりますけど、僕らが子供だった70年代の少年マンガは血なまぐさかったですね~。
毎号、腕や生首が飛ばない号はなかったような印象があります。
ばだしのゲンや孔子暗黒伝、デビルマン、バイオレンスジャック、魔獣戦線、漂流教室、アシュラ、アストロ球団、聖マッスル、地上最強の男竜、大ボラ一代、その他無名の作家の作品も…。
石川賢が描いたグレンダイザーのマンガすら血まみれ。(^-^;)
テレビでは夕方の子供番組の合間にフツーにスプラッター映画のCMやってたし。
「カランバ!」とか「グッバイ・ヒーロー」とかの残酷ドキュメンタリーのCMなんかも。
無軌道だった70年代を全肯定する気はありませんけど、僕は製作側の人間として、表現物に対する規制は全反対。
ただ、現在は小学生でもインターネットでいくらでも残酷なもの、エロいものにアクセスできてしまうので、子供の健全育成を願う親御さんたちには難しい問題だと思います。
子供はほっといても成長するものなので、まわりの大人がちゃんとしている事が重要なんじゃないかな。


> るるるさん
> ここで疑問なのですが、なぜ漫画ではなくて、文学や映画の名作なんでしょうか?

マンガの名作は直接描き方の参考になります。
マンガ家を目指すのだから、マンガの名作をひと通り読んでおくのは「基本」です。
マンガ家のアシスタントに行ったり編集者と話をした時に「あしたのジョーを読んでません」とか「忍者武芸帳を読んでません」というのでは話になりません。
あたりまえすぎることなので、前回のコメントではわざわざ書かなかっただけです。
(^_^)

文学や映画の名作を見ておきなさい、というのはマンガの名作をフォローした上での話です。
ハイティーンから20歳ぐらいまでのころは心が柔らかく大きく発達する時期なので、この時期にどれだけ精神の滋養分を摂取したかがその後の伸びしろをほぼ決めます。
20歳を越えた頃から人間は固まってしまうので、自分の考えや感性と違う作品と出会って感動はしても、人間そのものが変わってしまうような体験はあまりしなくなります。

知識は歳とってからでもいくらでも学習できるので、若いうちは多彩な作品に接して「感動力」を鍛えておくべきです。
若い時の感動というのは、その感動ひとつひとつが新しい自分の発見となります。
思いもがけない事象に感動する自分というものに直面して、自分の未知の側面というものを発見していく。
そうしてだんだんと自分の心の輪郭というものがわかっていく。
自分の欲望と希望の所在を把握した人間だけが、他人に感動を与える作品を描ける。

なぜ自分の体験やマンガ以外の文学や映画なのか…という疑問には、僕はこう考えます。
まず、自分自身が体験した実体験というのは、一番「リアル」なわけですから一番重要です。
しかしこの平和な日本。多少貧乏したりしたってたいしてすごい体験ができるわけがありません。
(波乱万丈な人生を歩む人も稀にいるでしょうが、そんな人はマンガ家になるのに人に相談したりしないでしょう。)
マンガも所詮同じ日本人が最近描いたものです。同じ言語、同じ習慣、同じ常識の範囲に縛られている。
そこで国も時代も違う人が魂をこめて書いたり撮ったりしたものを読んだり見たりした時に感動すれば、それは普遍的なものだと思うわけです。

普遍的な感動・テーマというものは、創作のための「原初的燃料」となります。
それは誰のものでもない、あなただけの「武器」となりえるものです。

ただ、文学研究者や映画評論家になろうというわけではないので、古今東西のすべての古典名作をすべて読破・観賞する、というのは物理的にも経済的にも無理です。
(BBSでもみんな思い思いに作品を挙げてますが…(^-^;))
結果的にあなたに縁のあった作品が両手で数え上げられるぐらいあれば十分です。

すでに読んでるかもしれませんが、僕の体験記「ゆきとクロニクル」の
80年代後半あたりも多少は参考になるかも。(リンク)


最後にBBSであまり挙げられていない名作文学のオススメをいくつか…

・ドストエフスキーの諸作品
(実をいうと僕が読んでいるのは「罪と罰」だけ。翻訳が古くて最初は難儀したが、50ページを越える頃から一挙に面白くなった。ただ読んだのが旧銃夢連載終了後なので、人生に影響を与えるほどではなかった。もっと早く読んでおくべきと大後悔。今は新訳が出ているそうです。)

・ゲーテ諸作品
(僕が読んでいるのは「ファウスト」第1部・第2部のみ。20歳ごろ読んで大きな影響があった。)

・ダンテの「神曲」
(僕が読んだのは訳が悪くて、ぜんぜん面白くなかった…)

・カフカの諸作品
(僕は読んだのが遅すぎた。)

・メルヴィルの「白鯨」
(17で読んで大きな影響があった。)

・ニーチェの「ツァラトゥストラはかく語りき」
(23歳ごろ読んだが、もう少し早く会っておきたかった。)

・Oヘンリの短編集
(短編としてすごく分かりやすい。)

・トランボの「ジョニーは戦場に行った」
(20歳ごろ大きな影響を受けた。銃夢の原点。)

・コリン・ウィルソンの「アウトサイダー」
(小説でもなく戦後の作品だが、孤独と戦う若い人にこそ読んで欲しい本。)

僕は国内文学を軽視しているので時代小説以外ほとんど読んでいないのだけど(ひんしゅくを買いそうだなー)、一つだけ挙げるとするならこれ。
・夢野久作「ドグラ・マグラ」
(人によって好き嫌いあるかも。とても昭和10年の作品とは思えないほど現代的な感性の小説。)


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