ゆ き と の 書 斎

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近況 2008年

2008年12月27日 風邪で寝込んでました。(+_+)

12月2度目の書きこみです。

数ヶ月前から頭の湿疹がひどくなり、集中力をひどく乱されるので、内科の病院に行って診てもらいました。
それが19日金曜日のこと。
アトピー性の皮膚炎だと診断され、飲み薬と軟膏数種類を処方されました。
このときに1時間ほど待合室で待たされていたんですが、どうもこのときに風邪がうつったようです…。

その後22日月曜日ににイトウさんと打ち合わせし、夜にベッドに入ったころからみぞおちが圧迫されるような苦しさに一睡もできず翌日トイレで嘔吐。
真っ黒なゲロが出ました。
腹部の苦しさはなくなりましたが、のどの焼けるような痛み、全身の倦怠感、体の節々が痛み、熱はないようなのですが、頭がぼーっとして寝汗をびっしょりかいたり。
そんなぐあいでずっと寝込んでいました。
さっき起きたら、だいぶ回復したらしく、のどや頭の痛みも引いていました。まだちょっと咳き込んで痰が出ますが…。


銃夢BBSへのレス
> どんきさん
> 自分が、どうしても漫画の中で伝えたい事がある。
> その時は、伝わりやすいように書くのか、それとも自分が1番書きたいように
> 書いて読者に読み取ってもらうという方法を取るのでしょうか?
> もし、伝わらなかった場合はどうしますか?それも良しとするのでしょうか?


マンガというメディアの中には、様々なレベルでのテーマ(この場合、作者が読者に伝えたいこと)が重層的に混在しています。
まず、「絵」単体のレベルで何を表現しているのかの伝達。
次にコマ割り、ページ割りの「マンガ文法・構成」レベルでの表現の伝達。
次にキャラクターそれぞれの感情の表現の伝達(セリフも含む)。
個々のエピソードごとのテーマの伝達。
そして総体としての物語(すべての絵・文法・キャラ・エピソードを含んだ上での)テーマの伝達。

僕は絵描きとしては、芸術家肌というよりも職人肌であることが近年ますます明らかになってきてまして、
(^-^;)絵のレベルやコマ割りのレベルでは、「CooLだけどちょっとわかりづらい絵」よりも「わかりやすいけどちょっと野暮ったい絵」を選ぶ傾向があります。
だから他人に「何描いているのかわかんない」とか言われると大ダメージを受けます。

キャラクターの感情表現や立ち居振る舞いは直接マンガのおもしろさに関わるところなので、ここん所もちゃんと伝わらないとダメですね。

個々のエピソードごとのテーマ、そして総体としての物語としてのテーマの部分は「これ以上は易しく描くことはできないし、またその必要もない」という僕の中の方針に従って描いています。
だからわかる人もいれば、わからない人もいるでしょう。

僕が若いころ、エーリッヒ・フロムと同様に啓蒙されたカール・グスタフ・ユングは次のようなことを言っています。
「対立し、矛盾するものは、言葉や論理では伝えられない。それを語るには神話的な物語によるほかはない。」

僕が物語を用いて伝えようとしている何かは、簡単な言葉では言い表せない何かなのです。
逆説的に言うならば、伝えたいテーマが一言の言葉なら、何も長い物語を描く必要はないのです。

そして最後の質問への回答、「伝わらなかった場合は良しとするのか?」ですが…
すべて良し!!です。
「面白くなかった」と言われたら首を括りたくなりますが。
作者の考えていたことと違う解釈をする「誤読」もすべてO.Kです。
(ただし誤読の責任はその人自身にあります。マスコミが犯罪をマンガ・アニメ・ゲームのせいにするのはやめてもらいたいですね~)

僕が銃夢連載前、原稿を持ちこんでいた新人だったころ、ある編集者に、マンガで深いテーマを描くことの覚悟を問われたことがあります。
(非常にえげつない表現があったのですが、これをそのまま書いてしまうと炎上しかねないので、あえて伏せます。)
僕は、たとえテーマを読み取ってくれる読者が百万人に一人ぐらいしかいないとしても、その人のために最高のものを描きたいのだ、というような意味のことを言いました。
今でもその志は変わりません。

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