ゆ き と の 書 斎

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雑文・その他

2007年06月25日 ゲームの面白さについての考察

> かくさん
> できたらゆきと先生に面白いとはなんなのか問いたいです。

これは「ゲームのおもしろさ」の話ですよね?
僕の場合は「つかみ」と「達成感」ですね。

「つかみ」というのは、まだゲームを始める前にグッと心を掴まれる、「うぉぉ、やりてぇーっ!!」と思わせる、シチュエーション設定や雰囲気。
そしてゲームを始めてからも艱難辛苦を乗り超えて「この先はどうなってんだ!?ラストが見てぇー!!」と思わせる動機となるものです。

達成感は文字通り。
何度も何度もコンティニューを繰り返して、ついにトラップを越えたり謎を解いたりボスを倒したり難所を切り抜けたり。
やってる最中は「こんなのクリアできるのか~!?」と悲鳴を上げながら、すこしづつコツがわかったりしてクリアする。
その小さな達成感の積み重ねとしてのエンディング。

以上は一人プレイのアクションゲームの場合ですが、対人戦にはまた違った楽しみがありますよね。

> Ivanさん
> ゲームには大別して手の面白さと目の面白さ、そして言葉の面白さがあると思います。
> かくさん
> 自分が感じる面白さは、やはり人です。

手と目と言葉と人、このうちビデオゲームだけにあって他のメディア(小説・マンガ・映画など)にないものを挙げるとするならば、やはり「手」ですよね。

かつて、セガファンが多く集まるコアなゲーム掲示板などでは「ゲーム性」というものがよく議論に上がっていました。
「ゲーム性」とはゲームをゲームたらしめているゲームの魂、それがインタラクティブ性でありここで言う「手」です。

昔のゲーム機は性能が貧弱だったので目や言葉や人の部分は脇に置いといて、とにかく手で遊ばせるものでした。
しかしゲーム機の性能が上がり、たくさんの色とポリゴンや動画が扱えるようになって目と耳を楽しませる事ができるようになりました。
漢字も使えるようになり、画素が上がっていろんなフォントも表示できるようになり、言葉でも楽しませられるようになりました。

プレステが登場したばかりの90年代半ばは、まだその豊かな性能をどう使うかは各メーカー試行錯誤で、ムービーばかりで手の遊びをおろそかにしたようなゲームが多く現れました。
そういう風潮に対しての批判として、ゲーマー達が「ゲーム性」という概念を持ち出して怒っていたのでした。
しかし一部のコアなゲーマーは極端な原理主義に走り、「手の遊びのおもしろさ」意外の要素はいっさい認めないという態度を表し、意見の違うゲーマーを攻撃したりしました。

僕も長い間「手の遊び」を重視するセガ信者だったわけですが、考えが変わりはじめたのが90年代末ごろ。
ナムコのPS「リッジレーサーR4」をやったのがきっかけでした。
レースに入る前の選択画面のインターフェースが高度にデザインされていて、手と目と耳を合わせた「エクスペリエンス(体験)」を味わう事ができました。
(レースゲームなので言葉のおもしろさという部分はなかったですが。ゲームで言葉の部分に感心した最初のゲームは「クロノ・クロス」かな。「人とのおもしろさ」については別項で考察します。)

もちろん、エクスペリエンスはゲームだけの専売特許ではなく、小説には小説の、映画には映画の、マンガにはマンガのエクスペリエンスがあります。
しかしゲームだけにある「手」の要素が目・耳と不可分なまでに有機的に統合された時、独特の強烈なエクスペリエンスとなりえる事を知りました。


*対人戦のおもしろさについての考察

人と遊ぶと飽きないというのはまったく同感…。
でも対人戦そのものはアナログの将棋やトランプの時代からの「遊びの王道」としてありました。
…というよりも、むしろビデオゲーム登場以前は一人ではほとんど遊べなかった。
ので、ビデオゲームによって「豊かな一人遊びが発明された」と考えられます。
ゆえに僕の考えでは、「一人遊び」を「多人数と遊ぶ事」より下位に置くことは反対です。
この豊かな一人遊びはビデオゲームのできる現代人だけの特権。

ああ、考えているうちに、「一人遊び」と「多人数と遊ぶ事」を対立させている考え方そのものがすぐに古くなってしまうような気がしてきました。
今、ネットでつながった仮想空間でかなり高度な「ごっこ遊び」ができるようになっていて、「オンラインゲーム」と「スタンドアロンの対COM戦ゲーム」という分類があります。
でも将来は両者の境界がどんどんあいまいになっていくのかもしれません。
ゲーム内の敵キャラが人間が操っているのか、NPCなのか、その切り替えがつねに動的に行われていくようになるのかも…?
でも人的リソースは有限だから、NPCがなくなっちゃうということはあり得ないか。

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