ゆ き と の 書 斎

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雑文・その他

2002年09月18日 江ノ島タワー

僕の親父は東京世田谷区駒沢生まれで、子供の頃はとんでもない悪ガキだったらしい。
時代は終戦直後。昔の記録映像にある「ギブミーチョコレート!」と進駐軍(占領中の米兵)に群がった子供たちと同年代である。ちなみに親父は気位の高さから「ギブミーチョコレート!」はやらなかったらしい。(親父談)
 
自転車のチューブで超強力なパチンコを作り、雨戸を盾にして小石で戦争ごっこをしたり。
駒沢大学の雨どいがアカ(銅製)で高く売れるときき、祭りの日に構内に忍びこんでひっぺがして売りさばいたり。
「もう時効だよなあ。避雷針の先に金が使われているときいて狙ったが、たどり着けずに諦めた。」(親父談)
 
およそ今の感覚・常識からかけはなれた体験談がぽんぽん飛び出す。
中でも一番信じがたかったのが次の話だ。
 
「世田谷に広大な日本軍の訓練場があった。そこに高さ50メートルはある、落下傘部隊が訓練するための鉄塔があった。
敗戦後、誰も管理する者がなく、荒れ放題だったそこはガキどもの格好の遊び場だった。
手すりも何もない50メートルの鉄塔に仲間と登り、上から立ちションベンしたものだ。
その鉄塔が、今、江ノ島にある展望タワーになったんだよ。」(親父談)
 
僕も小学生の頃江ノ島の展望タワーに登ったことがある。そのときはそんなこと言わなかったじゃねーかよ親父ぃー!と言うわけでにわかには信じがたい。
というか信じてなかった。今朝の新聞を読むまでは。
 
今朝の朝日新聞朝刊のコラム。江ノ島に新塔が建設中であることを伝える内容で、その中の一節にこうある。
「高さ54メートルの江ノ島展望台は、戦前の落下傘訓練塔を「平和塔」と改名して51年に移築した。」
 
ガ~ン!ほ、本当だったのか親父ぃ~!
本当にあの上から立ちションしたのか~!
 
父はほんとうに偉大でした。

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