ゆ き と の 書 斎

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レビュー(本)

2002年08月01日
「フランケンシュタイン」

 
飽くなき恐怖への渇き
  
恐怖BBSもメタル掲示板も僕の趣味ですよ~。まぁつーちゃんの趣味でもあるけど。
兄弟で趣味が一致しててよかった。まあ洋楽とかは僕がやつをこっちの世界にひきずりこんだよーなもんですけど。

僕は怪談・奇談が三度のメシより好きで、年をかさねるごとにその嗜好が強くなっている感じです。
小学校の時、生まれて初めて親にお金をせびって買った本が「ジキル博士とハイド氏」でした。
ふくろう文庫の「怪談」や学研の「怪奇ミステリー」、ジャガーパックスの「世界妖怪図鑑」、
水木先生の「ゲゲゲの鬼太郎」や藤子先生の「魔太郎が来る!」などが小学校時代の愛読書でした。

小学校5年ぐらいから「宇宙戦艦ヤマト」や「スターウォーズ」の到来とともにSFに軸足が移っていくのですが、高校卒業ぐらいからSFへの過剰な入れこみもおさまり、再び怪奇への欲求がいやましてきて現在に至ります。
描いてる作品の傾向からSF一辺倒だと思われるかもしれないですが、実は「SFちゃん」であるとともに筋金入りの「怪奇ちゃん」でもあるのです。
(^-^;)

SFには大きくわけて二つの流派があると昔から言われております。ジュール・ベルヌ派とH,G,ウェルズ派です。ベルヌは将来実現可能な未来予測的な作風(代表作は「海底2万里」「月世界旅行」など)、ウェルズはよりファンタジックな作風(代表作は「宇宙戦争」「タイムマシン」など)です。
「僕はどっちかというとウェルズ派だな~」
と思っていたわけですが、いつからか
「いや、僕はメアリ・シェリー派だ!」と思うようになりました。
メアリ・シェリーとはイギリスの女流作家で、「フランケンシュタイン」の原作者です。
科学と恐怖の二つの要素。そして描かれるのは人間の苦悩。
うーむ僕の好みにぴったりじゃないですか。

しかし肝心の原作を読んだことがなかったので、このあいだ本を買ってきて読みました。
すると、ずいぶん抱いていたイメージとは違いました。
原作には人造人間を造る過程の具体的な描写はなくて、有名な「落雷で生命を吹き込む」という描写も出てきません。あれはみな映画オリジナルアイディアだったんですねー。
人造人間も猿のように身軽で、後半に再登場したときには高い知能と感受性を備えてハムレットのごとく喋りまくります。
総じて科学に関する記述はほとんどなくて、やはり文芸的な悲劇物語という感じです。SFの起源の一つに定義するにはちょっと無理がありますかね~。
しかしこうなると、古い映画版「フランケンシュタイン」が観たくなってきました。

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