ゆ き と の 書 斎

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レビュー(本)

2001年06月18日
「中国拳法伝」「月下の拳」「新耳袋・第六夜」

 
「中国拳法伝」笠尾恭二著 福昌堂

中国拳法の発祥から歴史的な発展の過程を考察した本。1972年に刊行されたものの新装版らしい。同じ著者の「中国武術史大観」という本を持っているが、あまりに分厚い本で挫折していた。「中国拳法伝」は「~大観」とくらべると分量も手頃で、活字も大きく文体も軽く読みやすく、するすると読むことができた。
清朝末期から現代に至るあたりの中国の歴史はよく知らなかったので、そういう意味でも非常に勉強になった。クンフー映画で取り上げられている題材も、時代背景の事情が分かることでいっそう面白く感じられる。

「月下の拳」三井悠著 坂丘のぼる画 福昌堂

楊露蝉という人が太極拳に入門しようとするが断られ、口の利けない使用人にまで身をやつして極意を盗み、最後には太極拳の名人として名声をうちたてるまでを描いた講談小説。
前半の主人公の失敗につぐ失敗、挫折につぐ挫折の連続がすばらしい。僕もこういう艱難辛苦の物語を描いてみたいものだ。

「新耳袋・第六夜」木原浩勝・中山市郎著 メディアファクトリー

実話怪談集シリーズ最新刊。今日買ってきて読んだばかり。「怖い」というよりはほのぼのと不思議な話が多くて好感が持てる。こう感じるのは僕だけかもしれないが、最近は「実話怪談」を名打った本はムリヤリ読者を怖がらせようという魂胆が見え見えの作り話や、ただ陰惨なだけの話などが多いだけに、「新耳袋」シリーズは安心して読める。いや、怪談を読むのに安心してしまうのは邪道か!?

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