ゆ き と の 書 斎

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レビュー(本)

2001年08月17日
「偽史冒険世界」

 
「偽史冒険世界」長山靖生 筑摩文庫

義経-ジンギスカン同一人物説、日本人-ユダヤ人同祖論、竹内文書。これらのキーワードにピンときた人は読むべき。上記のような途方もないカルト本が書かれた背景を当時の日本の時代状況や人々の無意識の欲望のあり方から読み明かした本。明治から太平洋戦争にかけての日本の裏の歴史にもなっており、ひじょうに面白く、かつ考えさせられる。
人間は物語を通してしか、世界を認識することはできないという。僕も物語の書き手である以上、無縁のことではない。最近の「新しい教科書」問題にも通じるものがある。戦後、日本という国の物語は空白のままだ。この国では実写ヒーロー物、アニメ、漫画が他の国に比べて異常に発達したが、それは物語の空白を埋めようという無意識のあがきだったのか?

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