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崖観音・大福寺ツーリング
千葉県館山市船形・大福寺

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2013年10月31日 木城ツトム

今年の夏に流れたニュースに「東京湾アクアラインが来年春から値上げ」というものがあった。現在はETC搭載の普通車で800円、バイクなら640円で通れるのだが、それはあくまで「社会実験」期間中の特別割引で、その実験が来年3月いっぱいで終了するのだという。アクアライン開通当初の「普通車3000円」というボッタクリ料金までには戻らないらしいが、それでも現在の2倍くらいには上がりそうな気配である。

それならば値上げ前にアクアラインを通って、千葉県南部、南房総のどこかに行っておくか〜と思ったのが10月末のこと。南房総と言えば、かつてハーレーのボブ太郎で鋸南町の「日本寺」に行ったことがある。巨大石仏や五百羅漢、石切り場など見ごたえのある場所だった。あそこを超えるような観光地はないだろうなぁ〜と軽くネットで検索してみると、いきなりインパクトのある写真が目を引いた。断崖の中腹にそびえる朱色のお堂……これはまるで中国武侠ドラマに出てくる、高僧が住む秘境の寺院そのままではないか!!!

これはカッコ良過ぎる……こんな秘境行くしかあるまい。日本寺といいここといい、まさか我が千葉県がこんなに秘境の宝庫だったとは。

001.jpgグリップヒーターとウインドシールドを装備し、ツーリング仕様となったハイ坊002.jpgおなじみアクアラインのSA・海ほたる。平日なのにやはり人が多い004.jpg2時間ほど走って館山市の大福寺に到着。観光地とは言え規模は大きくない005.jpg駐車場から崖にそびえる観音堂が見渡せる。テンション上がりまくり
011.jpg背後の奇岩とともに、スケールがわからなくて大きく見えるのがポイント007.jpg順路をたどって観音堂へと向かう。植木がきれいに整えられている008.jpg急な階段を登ると途中に不動尊があり、さらに登ると観音堂がある009.jpg朱塗りの観音堂。天災で何度も建て直されたらしく、意外と古さを感じない

さて日本寺の時と違って、今の愛車はVICTORYのハイボールことハイ坊である。前回「竜神大吊橋ツーリング」の時はウインドシールドがついてなくて強風に閉口したが、今回はディーラーにてウインドシールド、そしてグリップヒーターを装着して準備は万端。晴天に恵まれた31日の11時ごろのんびりと出発。クルマの多い首都高から久々の東京湾アクアラインに突入。海上SA「海ほたる」で一服後、千葉県に入って館山自動車道をひたすら南下する。やはりウインドシールドがあると体に風が当たらないため、ふんばることがなく楽に走れる。

館山自動車道の終点、房総半島の最南端・館山市で降りて細い道を少し走ると、ほどなく目指す「大福寺」駐車場に到着した。他の観光客の車も数台停まっている。駐車場からは断崖の観音堂「崖観音」が見渡せるので、すでにテンション上がりっぱなし。予想していた通り規模はそう大きくないのだが、何しろ映画のロケ地のような非現実的光景が目の前に広がっているだけで充分スゴイ。

手前には墓地、奥にはお寺の本堂があり、規模は普通のお寺と変わりない。観光地と言うにはずいぶん小さいが、ここ大福寺はなんと拝観無料。今から約1300年も昔の奈良時代、船形山の中腹に磨崖仏が彫られ、その後観音堂が建てられたという歴史のある場所だ。ここを開いたのも日本寺と同じ僧・行基(ぎょうき)だそうだが、現在でさえ行き来が容易でない(←失礼)南房総になぜ歴史のある寺院が多いのかと言うと、なんでも大昔は西日本から関東に来るには陸路よりも船で海路を渡った方が早かったからだそうで、南房総はその玄関口だったので古い寺院が多いらしい。なんとも面白い話である。