ページ2 of 茶房・風雲庵

崖観音・大福寺ツーリング
千葉県館山市船形・大福寺

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2013年10月31日 木城ツトム

駐車場から下ったところにトイレがあるというので行ってみると、下には観光バス用の駐車スペースと公衆トイレがあり、用を足しているうちに早速バスがやってきた。平日だというのに予想外ににぎわっている。

入り口から順路を通って観音堂へと向かう。草刈りのオジサン達が植木の世話をしている横を通って、急な階段を登っていく。この手の場所には急な階段がつきものだが、石段地獄だった日本寺に比べると、こちらはすぐに登りきってしまうので、お年寄りにもやさしい観光地だ……と思っていたら、先ほどの観光バスからご老人軍団がワラワラとやってきて、階段はたちまち混雑し始めた。ご老人達はヒーヒーハーハー言いながらも、けっこう元気に階段を登ってくる。

階段をひとつ登りきると、突き当たりの岩壁に古い不動尊があり、そこから右に曲がってまた階段を登ると、いよいよメインの観音堂にたどり着く。朱塗りの観音堂は多少の年期が感じられるものの、千年を経たものには見えない。案内によれば江戸期の火事台風による倒壊、また大正期の関東大震災の被災などで、過去に何度も建て直されているようだ。

観音堂は崖にくっつけて建てられているので横には長いが、奥行きは3mもないくらい。壁には木彫りの仏像が安置され、建物の中央には祭壇が作られていて、その奥に岩に彫られた観音様があるという。ご老人達が中をのぞき込んで「顔が見えた」「全然見えない」と騒いでいてなかなか撮影できない……この磨崖仏は顔が損傷しているとのことで、顔は祭壇の柱のカゲになって見えないようになっていたのだった。しかしこちらはさすがに千年前のものだけあって、年季が入った遺跡の風格を感じさせる。

012.jpg突如として観光バスのご老人軍団が大襲来。ヒーヒー言いながらも登ってくる013.jpg観音堂にあふれるご老人たち。ここから眺める館山湾の景色が清々しい017.jpg観音堂からの眺め。千葉には高い山がないので、遠くまで景色を一望できる015.jpg岩に掘られた観音様に群がるご老人軍団。顔が見えた、見えないで大騒ぎ
016.jpg崖観音の観音様はこんな感じ。顔が隠れて見えないが、損傷が激しいとのこと010.jpg帰りの順路から撮影。傍から見ると徳の高い「高僧」がいそうなイメージ018.jpgこんな絵になる場所が千葉にあったとは。関東の穴場観光スポットと言えよう019.jpg帰りはまたまた海ほたるで食事。東京湾なのに広島産カキフライ定食

お堂から出て欄干から外を見ると、船形の町と館山湾が一望できる。こうして見ると房総半島は高い山がないので、かなり遠くまで見渡せることに気付く。調べて見ると千葉県で最も高い山は南房総市にある愛宕山(嶺岡愛宕山)で標高わずか408m!各都道府県の最高地点では、なんと千葉県が全国最下位だという。そう言えば沖縄出身の笑也さんが「沖縄には高い山がない!」と力説していたが、まさか千葉が沖縄に負けていたとは……それどころか東京スカイツリーの展望台よりも低いらしい(笑)。千葉生まれの私だが、山と言えば筑波山(茨城県)や高尾山(東京都)がなじみ深かったので、千葉の山なんて考えもしていなかった。出身地なのにあまりに地元を知らなさ過ぎる。

さてご老人軍団がワラワラと退散したのでじっくりと観音堂を見て回ったが、観音堂の中はさほどの見ごたえはない。やはりここの醍醐味は外から見た、崖の中腹に朱塗りの観音堂が建っている光景につきると言えよう。日本国内でこれに似た寺院と言うと、鳥取県にある三仏寺というオーバーハングした岩壁に建てられた、超危険なお堂が有名だ。こちらは滑落事故が後を絶たないほどの山道を登らねばならず、しかもお堂は立ち入りどころか近づくのも禁止されているという、観光地と言うにはあまりに過酷な場所だ。それに比べればこちら崖観音は、手軽に穴場の秘境気分を味わえるという点でオススメだ。ここと日本寺をセットで見て回れば、丸1日充分に楽しめること請け合いである。

さて崖観音・大福寺を後にして館山自動車道を北上、アクアラインの海ほたるで遅い昼食(夕食?)を取り、首都高で渋滞に巻き込まれながら夜7時ごろ帰宅。今回燃費のことは考えてなくてあやふやになってしまったが、走行距離は約255km。首都高、アクアライン、館山道と3つを経由するためか、距離の割には走った感じがした。南房総にはまだまだ隠れた穴場がありそうな気がする。特に太平洋側はまだバイクで走ってないので、これから良く調べておこうと思う。