9月11日は絵に描いたような旅行日和の好天。我々は朝8時から先生の愛車・クライスラーPTクルーザーに乗り込み、高速を快調に飛ばし続けていた。外環自動車道から関越道→上信越道→北陸道と進んで、目的地の安ホテルは石川県金沢市。片道だけで距離500kmを越えるため、今日は移動だけで調査は明日からである。
安ホテルにて疲れをいやした我々が翌朝見たものは、なんと昨日の好天がウソのような、大雨が降りそそぐ金沢の町並み。しまったすっかり忘れていた……私(木城ツトム)が雨男だったということを!しかし時間は待ってくれない。たとえ台風がやって来ようと、我々は行かねばならないのである。意を決し、我々は大雨の金沢に飛び出していった。
しかしこの金沢というところは初めて来たのだが、古い城下町ということもあってか、とんでもなく道がわかりにくくて迷う迷う!まあ先生のPTクルーザー号にナビが付いていないことも原因だが、私が用意した地図がグーグルマップを印刷したものというのも実に問題である。
道を間違え、警報器の鳴る踏み切りに突っ込みそうになりながらも、我々は雨の北陸をひた走り、金沢市の北に位置する羽咋(はくい)市に向かっていた。目指すは宇宙科学博物館『コスモアイル羽咋』である。
だがその前に、私には立ち寄りたいところがあった。ちょうど金沢市と羽咋市の中間点に位置する謎の古代史跡「モーゼの墓」である。モーゼと言えば旧約聖書に出てくる預言者・民族指導者であり、名作映画『十戒』などでもおなじみ、あのモーゼである。そしてそのモーゼが眠る場所、それが『モーゼパーク』である!!
場所は羽咋郡宝達志水(ほうだつしみず)町。古い田舎の民家が建ち並ぶせまい路地を走っていくと、一角にバスの駐車スペースが現れた。そこから坂を少し登ると、普通車の駐車スペースも完備している。意外にもきちんと整備された公園であることに驚きを隠せない。というか観光バスがここに来るのか!??
公園に入ればすぐそこに「モーゼの墓」が建っているのかと思ったが、案内図によるとここから山を登らねばならないらしい。しかし我々を青ざめさせたのは、その案内図の横に立ててある看板であった。ボロボロで読みにくいが、そこには大きな字で「熊に注意」と書かれている……おいおいクマが出るのかよ!
さらにここモーゼパークの入り口はきれいに整備された公園になっているが、隅の方を見ると、なぜか真新しい普通の墓石が……どうやら昔はただの墓地だったのを、整備して公園にしてしまったらしい。いろいろな意味で大丈夫なのかモーゼパーク!