デミオ1 of 茶房・風雲庵

2016年〜 マツダ・デミオ

demi001.jpg今までマツダ車には縁がなかった私だが、マツダ車の日本車らしからぬ流麗なデザインは、前から気になっていた。ただ買い替えるほどの決定的な理由がなく、フトコロ事情もあって、ずるずるとフィットを乗り続けているうちに10年も経ってしまったのだった。

そしてフィットの車検時期が近づいた今年3月、ふと気が向いて、マツダのディーラーに行ってみた。なんでも新型デミオの出来がすこぶる良いというので、下調べもせず試乗しに行ってみたのだ。ただこの時点では、よほどのことがない限り買い換えるつもりはなかった。

ところが、ディーラーで新型デミオの1.3リッターガソリン車を試乗してみると、さすが10年経ったフィットとは何もかも違う。外装も内装も装備も乗り心地も走りも、もうすべてが天と地ほど違っている。しかも、初めて乗るクルマなのに違和感を感じない。ス〜ッと運転できてしまう。

さらに1.5リッターのクリーンディーゼルの方に試乗すると、こちらはもうコンパクトカーとは思えぬどっしりとした重厚さ、バツグンの安定感にワンランク上の車格と錯覚してしまう。そしてアクセルを踏み込めば、ケタ外れのトルク感。クルマ素人でもわかるすごさと完成度、これはもうタダゴトではない。マツダがこんなスゴいメーカーだったとは!

もうすっかりマツダ車にヤラレてしまった私は、即座に買い替えを決意。デミオのディーゼル車「XDツーリング」を選んだ。オプションをつけると総額200万を超えてしまい、当初考えていた予算は大幅にオーバーしてしまったが、新型デミオにはそれだけの価値があると確信し契約したのだった。

さて納車から500kmほど走ったので、新型デミオの総合的なレビューをしてみたい。まずは良い点をピックアップ。

●スタイリング

見れば見るほどシビレるスタイリッシュなデザイン。写真だともっさりと丸っこく見えるが、実際に見ると、研ぎすまされたシャープな線と筋肉質な面で構成されているのがわかる。また日本車離れした自己主張の強い顔つきも◎。新型デミオはマツダ車の中では目(ヘッドライト)が大きく、小動物が必死にふんばっているようなかわいらしさがある。

そして今のマツダを象徴する特別色「ソウルレッドプレミアムメタリック」が美しい。メタリックと言いつつラメが入ったギラギラ感がなく、一見ベタ塗りの赤に見えるが、濡れたようなツヤと陰影感がくっきり出るのが特徴。この色を選択すると4万円も取られるが、それだけの価値はある。

demi002.jpgコンパクトカーらしからぬ押しの強さと流例なデザインdemi004.jpg力強いデザインに映えるメタリック色「ソウルレッド」demi005.jpg荷室の広さはそこそこ。トノカバーが自動的に閉まるdemi009.jpg後席はせまいものの、乗り心地はなかなかイイ

●インテリア

非常に気合いを感じるデザインと、安っぽく見せない工夫を凝らした樹脂パーツの質感。特に、運転席を中心に凝縮されたコクピット感が雰囲気を盛り上げる。手や足が触れる部分には合皮で覆われたソフトパッドが使われていて、ひとクラス上の上質さ。ステアリングホイールやシフトレバー、シート素材などは実際に上位車種と同じものが使われている。

私のデミオはXDツーリング標準の内装で、特別なレザー仕様ではないが、黒ベースに赤いステッチが入ってるスポーティな内装。シートは横の張り出しが大きく、体がスポッとはまって固定される。クッションと形状が良く体が吸い付くようなシートで、腰への負担が少なくて疲れない。

●主な装備

demi007.jpg安全装備や便利装備もてんこ盛りのデミオだが、他のコンパクトカーにはない特徴と言えば、運転席と助手席の間にあるダイヤルスイッチ「コマンダーコントロール」と、メーターフード上に立ち上がる「アクティブ・ドライビング・ディスプレイ(以下ADD)」。このふたつは、一度体験すると手放せなくなるくらい便利な装備だ。

「コマンダーコントロール」はマツダ車専用ナビ「マツダコネクト」を手元で操作するスイッチ類。画面タッチでも操作はできるのだが、やはり手元でナビ操作できるのは非常に快適。クリック感も少し固めでしっかりしており、安っぽさがなく使いやすい。世間では純正ナビ「マツダコネクト」自体の評判が良くないが(苦笑)、以前よりはかなり改善されたようで、機能的にはちょっと古い国産ナビ程度。音声案内の声がくぐもってて聞こえにくい時があるものの、おおむね問題はない。

「ADD」はいわゆるヘッドアップディスプレイで、フロントガラス下の位置に半透明スモークのアクリル板がゆっくりと立ち上がり、そこに情報が映し出される装置。この装置自体が戦闘機っぽい雰囲気でカッコいいが、決して雰囲気重視のカッコつけ装備ではなく、とても実用的。視界を邪魔しない位置に、速度やナビの指示がわかりやすく表示される。特にナビの指示は、ナビ画面をいちいち見なくてすむので、私のようにドン臭い人間には非常にありがたい。

外見で目につく装備はこのふたつだが、基本的な部分もよくできている。ハンドルは上下に動くだけでなく前後調整も可能、シートもリフターつきで上下調整ができる。またマツダのイチ押しポイントは、床から立つオルガン式ペダルのアクセルと、左に寄っていない適正なペダル位置。足を自然な位置に置けるので、足元が非常に快適だ。

demi008.jpgダイヤルがふたつ並んだコマンダーコントロール。マツダコネクトを操作するdemi000.jpgアクティブ・ドライビング・ディスプレイ。車速やナビ情報が表示されるdemi010.jpgマツダコネクトの画面。ナビや音楽やビデオ、またクルマの各種設定ができるdemi012.jpgダッシュボードの樹脂パーツの表面処理。革でいう「水シボ」をリアルに再現