第2次スーパー掃除ロボット大戦 of 茶房・風雲庵

第2次スーパー掃除ロボット大戦
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〜2003年4月10日〜
TEXT by 木城ツトム


●イントロダクション●


戦いは終わった。米国製・家庭用掃除ロボ「ルンバ」と日本製・クイックル掃除ロボ「そうじ虫」は、両者共に最高度の技を競い合い、引き分けとなった(?)。だがその二人のロボットを、冷ややかに見つめる二つの目……。そう、ロボットたちの熱き掃除バトルは、まだ終わってはいなかったのである!!


●“クリーニング・レボリューション” ROBOMOP(ロボモップ)●


この広い世界には、まだまだ我々の知らない無数の掃除ロボが存在する!その中でも、いつの間にか日本上陸を果たしていたのがこの“クリーニング・レボリューション”の異名を持つノルウェー製掃除ロボ「ロボモップ」である。「ノルウェー発明賞」を受賞したこの掃除ロボは、まさにノルウェーが国家的威信をかけて世界に送り込んだ刺客と言えよう。ちなみに日本での価格は税別で4,980円


パッケージ内容


●左上ののUFOのような銀色の物体が「ロボモップ」本体である。その隣の白いボールが駆動部の「ロボティックボール」。そして充電用アダプターと円盤状の紙製ダストシート。この他に日本語の解説・保証書がついている。本体の大きさは直径約28cmで、ルンバよりひとまわり小さい程度。

これを見ればもうおわかりかと思うが、UFO状の本体の裏に紙ダストシートを張り付け、電動ボールで移動させる電動モップ……それが「ロボモップ」である。これが発明賞を取ってしまうあたり、ノルウェーとはなんとも純朴な国だと言えよう。


パッケージ正面と替えシートパックロボティックボールボール内部


●パッケージは日本語表記。「ロボモップ」本体も「www.ROBOMOP.JP」とプリントしてある日本向け仕様だ。替えシート20枚入りパックも、ジャケットは本家に準じているようだが日本仕様である。同じく紙シート雑巾を使う「そうじ虫」は「花王クイックル」以外の紙雑巾を使おうと思えば使えなくもないが、この「ロボモップ」はドーナツ型の専用シートでないと使用できない。そのあたりは弱点と言えるだろう。

●駆動力となる電動ボールはソフトボール大。ヘソのように見える部分は、充電アダプター接続ジャックを兼ねた電源スイッチだ。細かいアイディアが光る。

●そしてボール内部図解。下のおもりによってモーターが一定の姿勢を保ち、スイッチを軸に外側の球が回転して走る仕組み。これが壁などにぶつかって進めなくなると、今度は球の中でモーターがぐるぐる回転し、姿勢が乱れて走る方向が変化する。このなんともアバウトなシステムによって、まるで生き物のように奇妙に移動する。


ロボモップ本体準備完了掃除中のロボモップ


●本体は軽い。しかもフニャフニャ……これはもしや、コンビニ弁当の箱と同じ材質か!?

●本体裏にシートを張り付けたら、床に置き本体中央のカゴにボールを入れる。ボールのスイッチを入れると掃除開始だ。

構造も発想も極端に単純かつアバウトゆえ、どこに走り出すかさっぱりわからない「ロボモップ」。「そうじ虫」はある程度壁づたいに走ったりするが、こちらはもう完璧にランダムだ。どのぐらいの時間走らせていればよいのかも謎。ノルウェー恐るべし。掃除能力はまぁそこそこ。


●“ダストボット” TOMY・SO-G(ソージー)●


この地球上には、まだまだ我々の知らない未知の掃除ロボが多数存在する!前回の「日米掃除ロボット大戦」で「ただいまそうじ虫」を紹介する際、私は「家庭用市販製品で国内初(たぶん)の掃除ロボ」と言ってしまったが、実はやはり、「そうじ虫」以前に日本製の家庭用掃除ロボは存在していたのだ!それが今から紹介する“ダストボット” TOMY「ソージー」である。


パッケージ内容掃除ロボ大きさ比較


ではこの「ソージー」、一体いつごろ発売されていたのか?実は正確にはわかっていない。販売・製作元の大手玩具メーカーTOMYのウェブサイトにも載っていないのである。しかしTOMYサイトのおもちゃ歴史年表「トイ・ミュージアム」によると、'80年代中ごろに「オムニボット」「KI・KU・ZO」なるロボットシリーズが出ていたことがわかる。「ソージー」もどうやら同シリーズの製品であることから、発売から15年以上経過している(!)のは確実のようだ。今回は岩手県にあるおもちゃ屋(有)ホビースクウェアにしな)から入手したため、新品ではあるがどこででも売ってるようなシロモノではない。

●パッケージ内容は「ソージー」本体、ほうきとちりとり、解説書のみ。本体色はホワイトの他にレッドがある模様。箱には「障害物にぶつかったり、机から落ちそうになるとクルッと向きを変えるすぐれ機構付きです」との解説が!ただのオモチャではない「本物」の期待が高まる。

●これまでの掃除ロボとの大きさ比較。大きさは1番小さいものの、高さが「そうじ虫」と同じぐらい(約12cm)あるので、ベッドの下などに潜り込んでの掃除には向いていない。「卓上クリーナーロボ」と箱に書かれているように、主に机の上などで使用する掃除ロボである。


本体裏面ほうき装着掃除中の「ソージー」


●「ソージー」のテクノロジーの秘密が隠されている、本体裏面の図解。移動のための車輪の中央にゴミ吸い込み口があるのは「ルンバ」などと同様だが、驚くべきは駆動輪が3つあり、そのひとつが横を向いていること。吸い込み口の中央を通るシャフトが第3の駆動輪を回転させている。これがはたしてどのように機能するのか?

●付属のほうきをアームに装着した状態。いわばこれで「戦闘態勢」が整ったと言えよう。パワーオン時にはこのアームが左右に傾き、ほうきをパタパタと動かす。アームの上には英文で、

SO-G Instead you, this robot will clean up your desk and other places perfectly.

と書かれている。これはつまり日本語に訳すと、

俺の名はSO-G、俺以外の掃除ロボは全てガラクタだ。俺がまとめて掃除してやるぜ。喧嘩上等、夜露死苦。(訳:筆者)

とのことで、「ソージー」の並々ならぬ意気込みを感じることが出来る(妄想)。

●掃除を開始した「ソージー」。目をピカピカと点滅させ、ほうきを振りつつギコギコいいながらゆっくり移動する。やはり「吸い込み式」掃除ロボなので、「ルンバ」ほどではないもののけっこううるさい


検証:「ソージー」落下防止能力…その1その2その3


●さて実際のところ「ソージー」はどの程度高性能なのか?前述したように箱には「机から落ちそうになるとクルッと向きを変える」とあるので、実際にテーブルの上を走らせて落下を回避するかどうか試してみた。

●するとなんと、テーブルの角で90度回転し、見事落下の危機を回避したのである!!(写真その2、その3)

●前出の本体裏面図解を再度参照してもらいたい。通常「ソージー」は、後方の駆動輪2つと前方の補助輪2つで走っている。この間、横向きの第3駆動輪は接地せずに空回りしているのだが、段差にさしかかって補助輪が脱輪すると、この横向きの第3駆動輪が接地し、本体を横に回転させるのである。恐るべしTOMYの科学力!!


検証:「ソージー」障害物回避能力…その1その2


●「ソージー」にはさらに、障害物にぶつかってもそれを回避する能力がある箱にも解説書にも書いてある。掃除ロボには「落下防止」よりむしろ「障害物回避」の能力の方が重要であろう。これまでに登場した「そうじ虫」および「ロボモップ」には落下防止能力はないものの、障害物回避能力はしっかりと身につけていた。掃除ロボとしては当然の能力なのである。そこで「ソージー」を壁に向けて走らせてみたところ……。

●壁にぶつかったままギコギコ身もだえる「ソージー」……ダメじゃん!(写真その2)
どうやら「卓上クリーナーロボ」である「ソージー」には、障害物回避能力は備わっていないらしい。堂々とウソ書くなよTOMY


掃除後の「ソージー」


●いくらか走らせて「ソージー」の掃除能力を見る。ゴミ排出口を開いてみると、中には髪の毛が数本……ダメじゃん「ソージー」。しかしまぁワタボコリも少しは吸い込んでいるようだ。問題は、吸い込んだゴミを捨てにくいこと。やはりおもちゃはおもちゃでしかなかったようだ(対象年齢は4才以上)。


●スーパー掃除ロボット対決・頂上決戦●


そしてやはりお約束……生き残りを賭けた4台の掃除ロボによるバトルロイヤルが今、始まった!

●生き残るのは一人だけ……緊張のバトル開始直前!
●バトルロイヤルスタート!全員一斉に間合いを取り始めた!
●ファーストアタックは「そうじ虫」!しかし攻撃をホウキでさばく「ソージー」!
●そこへ「ロボモップ」の奇襲攻撃!「そうじ虫」危うし!
●「ルンバ」vs「ソージー」!「ルンバ」の恐るべきモーターパワー!

……いや別に掃除してるだけなんですが。つーかこんなにたくさんの掃除ロボット必要ありません


●各掃除ロボット比較データ●

Roomba そうじ虫 ROBOMOP SO-G
大きさ
(幅×高)
約35×8cm 約18×11cm 約28×8cm 約13×12cm
掃除方式 吸い込み方式 紙雑巾方式 紙雑巾方式 吸い込み方式
回避能力 障害物回避
落下回避
障害物回避 障害物回避 落下回避
電 源 ACアダプター
12時間充電
単二乾電池
×2(別売)
ACアダプター
3時間充電
単二乾電池
×2(別売)
騒 音 ★★★★★
(うるさい)
★★★
(少しうるさい)

(静か)
★★★★
(ややうるさい)
交換品 専用フィルター クイックル
(紙雑巾)
専用
ダストシート
なし
価 格 39,800円 6,980円 4,980円 ?(6,800円)
長 所 ・確実な掃除力
・簡単操作
・走破性・回避能力
 など高性能
・値段の割にかなり
 の掃除力
・気軽に使える
・手に入りやすい
 替えの紙雑巾
・音が静か
・気軽に使える
・挙動がかわいい
・コンパクト
・落下を回避する
短 所 ・大きな騒音
・収納場所を取る
 大きな本体
・走破性が弱い
・結構ゴロゴロと
 音がうるさい
・落下に気を使う
・専用シートの張り
 替えが面倒
・安っぽい
・掃除力があまり
 高くない
・意外とうるさい
・掃除力が貧弱
・障害物を回避でき
 ない
・ゴミが捨てにくい


※データは2003年のものです。