スーパー掃除ロボット大戦 of 茶房・風雲庵

スーパー掃除ロボット大戦
(旧題:日米掃除ロボット大戦)
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〜2003年3月28日〜
TEXT by 木城ツトム


●イントロダクション●


アシモ(ホンダ)が歩き、SDR-4X(ソニー)が踊るロボット大国・日本。21世紀の今、ロボットが熱いことは言うまでもない。そして「鉄腕アトム」誕生の年である今年2003年、ついに我がユキトプロダクツにもロボトロニクスの波が押し寄せてきたのである!


●掃除ロボ日米対決・先手『Roomba(ルンバ)』●


ウチの先生が先に買ってしまったスウェーデンElectrolux社の「トリロバイト」は、ソニーのアイボより高価なハイソサエティ用掃除ロボである(価格は29万円前後。日本では東芝が代理販売)がゆえに一般市民にはちょっと手が出にくいが、「トリロバイト」よりはるかに安いロボもある。それがTVショッピングなどでもおなじみ、米iRobot社製掃除ロボ「ルンバ」だ。価格は3万5千円前後で、少し高価な掃除機程度の値段である。部屋の掃除など2の次である超絶めんどくさがり独身男の私にとって「お掃除ロボット」は天からの恵みと判断、早速ネット通販で注文した。

なお海外製・家庭用掃除ロボはこの他にも、メカメカしいデザインが特徴の英Dyson社「DC06」、「トリロバイト」そっくりな米Eureka社「Robot Vac」などがあり、家電ジャンルのひとつとして確立しつつあることをうかがわせる。


パッケージ内容


内容はいたってシンプル。ルンバ本体、バッテリー、充電器とアダプター、銀色に輝くバーチャルウォールユニット、交換用フィルター、あとは取扱説明書などの書類が入っている。バッテリーは12時間も充電しなければならないが、6畳2間ぐらいなら一回の充電で充分。
バーチャルウォールユニットは、乾電池を入れパワーオンにして床に置くと、その付近にルンバが近づかなくなるというもの。部屋の仕切りなどに使用する近未来っぽいアイテム。

このバーチャルウォールユニットは銀色のメタリック塗装で非常にカッコイイのだが、ルンバ本体はグレーのラメ入りプラスティックで少々安っぽい。本体色は他にオレンジがある模様。


本体大きさ比較パッケージ正面パッケージ裏面


銃夢LO3巻との大きさ比較。直径約35cm、厚さは約8cm。大きさなら「トリロバイト」にも負けていない。つーかデカいよルンバ。まぁ掃除機なんだから仕方ないと言えば仕方ないが、この大きさからして6畳以上の部屋を想定していることは間違いない。黒いバンパーを前にして走る。楕円部の3つのボタン(S/M/L)で部屋の大きさを指定する。電源を入れてこのボタンのどれかを押せば始動開始。小難しいプログラムを設定する必要はないので簡単ラクラク。

パッケージ正面は、アメリカ製品にしてはシックな写真ジャケット。裏面共々解説は英語。説明書は日本語なので問題なし。


本体裏面本体運搬時


裏面はかなりメカっぽい。前輪1つとゴッツイ駆動輪が2つ、そして駆動輪の間にブラシと吸い込み口がある。その上の四角いへこみはバッテリー装着穴。その左には、部屋の隅のゴミを取るためのスピニングサイドブラシがついている。アメリカ製品にしては細かい配慮である。吸い込んだゴミを集める収集ケースはえらく小さいので、掃除ごとにゴミを捨てる必要がある。

持ち運ぶときは、本体に付いている運搬用レバーを持って運ぶ。掃除中に持ち上げると自動停止する安全設計だ。


掃除中のルンバ


電源を入れ「S」(約20分作動)のボタンを押すと「ピッピピピッピ〜♪」と陽気なアメリカンサウンドが鳴り響き、豪快な吸い込み音と共に掃除開始。音は昔の掃除機なみにうるさい。最初は部屋の中央から始めて、グルグルとらせんを描きながら徐々に広がっていき、ものにぶつかると方向転換する。バンパーのぶつかった方向で進路を変える単純な仕組みなわけだが、曲がる角度が毎回違っていたりするので「同じ所をグルグル」といったことなはならない。さすが「ロボット」と名乗ることだけはある。しかしガッシャンガッシャンと激突音もうるさい。自己主張の激しいロボットである。掃除が終わると「ピッピピビッピ〜♪」と終了音が鳴って自動停止する。

ルンバの走行性能は説明書に書かれているとおり、少しぐらいの厚みのマットレスなら問題なく乗り越えて掃除を続ける。しかし太めのコード類(ゲームコントローラーのコードとか)だとさすがに厳しい様子。また床に置いてあった扇風機の土台に乗り上げ、走行不能に陥る場面もあった。

階段や玄関などの落ち込むような段差はキチンと探知して回避するし、走り回られては困る場所はバーチャルウォールユニットで守ることが出来るのだが、安定して走らせるためにはある程度片づけておく必要があるだろう。掃除ロボットのための掃除が必要なのだ。


掃除終了後のゴミ収集ケース


で、20分ほどダイニングキッチンを掃除したあとのゴミ。ぐはっ、大量のワタボコリのカタマリが…少しは掃除ぐらいしろよ俺!しかしさすがは掃除ロボ、掃除能力はこのとおりバッチリである(じゃないと困るが)。


●掃除ロボ日米対決・後手『ただいまそうじ虫(ちゅう)』●


しかしこれで終わりではない。ロボットと言えば我が国の伝統工芸である。日本が誇る掃除ロボの掃除力をアメリカ製の掃除ロボ・ルンバに見せつけなければ、ロボット大国日本の敗北は必至。そこで日本製掃除ロボの出番となるのである。

ちなみに「トリロバイト」は東芝が販売している市販掃除ロボットではあるが、あれはあくまでスウェーデンのElectrolux社製。日本の家電メーカー・ナショナルやサンヨーなども掃除ロボを研究しているようだが、未だ開発段階である。では家庭用市販製品で国内初(たぶん)の掃除ロボとは一体何か!?それがこの花王「ただいまそうじ虫」(定価6,980円)なのである。


パッケージ内容パッケージ正面パッケージ裏面


とは言え、私も最初からこの商品の存在を知っていたわけではない。ルンバを買おうとしてネットで検索していたら、たまたまYAHOO!ショッピングの東急ハンズ通販ページで見つけた。そこでルンバと同時購入に踏み切ったのである。

で、これまたシンプル極まりないパッケージ内容。「そうじ虫」本体とフロアクイックル5枚パックひとつ、シートホルダーパーツAとBだけ。なんと説明書も保証書もない豪快さ。取り扱い説明は箱に直接書いてあるのだ。ちなみに乾電池(単2×2本)も別売り。

ここまで読めばおわかりだと思うが、この掃除ロボはゴミを吸い込む掃除機能があるわけではない。「花王クイックルワイパー」に使う使い捨て紙雑巾を本体底面に装着し、部屋を走り回るだけという、アメリカ人もびっくりな掃除ロボなのである。

パッケージ正面ジャケットは、CGで描かれた「そうじ虫」とその背後に派手な洋風の婆さまが3人。「そうじ虫」に清掃作業を奪われたのが気に入らないのか、憮然とした表情の婆さまたち。たぶん3人とも身長180cm以上あると思われる。

また婆さまたちの足元には小さい字で「【分類】清潔科・床ふき属・いやし系」「ひたすら真っ直ぐ進む純情派」などと書かれた「そうじ虫」の中途半端なキャラ設定が。

箱の裏面にはクイックルシートの装着方法、また側面には注意事項や使用方法が書かれている。ちなみにこの「そうじ虫」を開発した「はっぴい工房」というのは花王の下請け会社か何かのようで、こういう変わった製品を中心に作っているところらしい。次は2足歩行ロボに期待である


本体大きさ比較本体裏面


銃夢LO単行本、ルンバとの大きさ比較。直径が約18cm、高さが約11cmと、写真で見た感じより意外と大き目。てっきりマウスぐらいの大きさかと思ったのだが。

裏を見ると、方向転換用の駆動輪2つと補助輪が2つある。真ん中のへこみはクイックルを装着する部分で、その奥が電池ケース。センサーの類は一切なく、玄関などの下へ落ち込むような場所ではまともに落ちてしまう(実験済み)。この点さえ改良すれば、かなり無敵だと思われる。


クイックル装着掃除中の「そうじ虫」せまい場所にも進入


シートホルダーに「花王クイックル・ドライタイプシート」を巻き付け、本体底面に装着。尾部にON/OFFのスライドスイッチがあり、スイッチを入れるといきなり走る。ちなみに持ち上げても停止しない。

スイッチを入れ床に置くと、目をピカピカ点滅させながら走り出す。この目はセンサーとかではなく、単に作動中を示すために光るだけである。当然ゴミを吸い込まないので、走行時は駆動輪のモーター音しかしない。たいがい前に直進するが、いきなり後ろ方向へ回転を始める場合もあり、なかなか気むずかしい一面も見せる。

「そうじ虫」はただ車輪が廻るだけのオモチャではない。引っかかって方向転換もできないような場面になると、バックして窮地を逃れるのである。とは言えルンバと同じく太いコードや、ちょっとした床のへこみでも走行不能に陥ったりする。

しかし当然ルンバより本体が小さいので、部屋の隅や机の下もスイスイ進入する。音が静かなので気軽に走らせられるのも利点である。


掃除終了掃除後のクイックルシート


本体上部のふたつのへこみは単なるデザインではなく、つまんで持ち運ぶための取っ手になっている。放っておくと電池が切れるまで走ってしまうので、自分の判断で停止しなければならない。

で、掃除の成果はと言うと…ぐはっ!だから掃除しろよ俺!!すっげーワタボコリ!こんなに汚ねートコロで平然と暮らしていたのかと思うと唖然としてしまうぞ。しかし見事な掃除力である。たかがクイックルと馬鹿に出来ない(つーか俺の部屋ヨゴレ過ぎ)。


●掃除ロボ日米対決・最終決戦●


そしてついにその時は来た。2台のロボットがあればやることはただひとつ。バトルである!

●ルンバの先制攻撃!そうじ虫危うし!しかしクイックルシートで攻撃を防いだ!
●そうじ虫の反撃!ルンバの電源スイッチに体当たり!しかしわずかに届かず!
●再びルンバの攻撃!ウエイト差があるルンバの攻撃は強烈だ!そうじ虫ピンチ!

えー、結局勝負はつかずドロー。つーか何をしているんでしょうか俺。使い方大間違い。掃除ロボットにはきちんと掃除させましょう。

●おまけ…掃除ロボ・バトルムービー(496K)

※データは2003年のものです。