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本革ツールバッグ製作記

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2009年9月9日 木城ツトム

a01.jpgバイクにつけるためのベルトにベロをつけたa02.jpgバイクにつけるためのベルトを縦に通すb01.jpgフタパーツを縫い合わせ、ついに完成

ついに最後のパーツ、フタパーツを本体に縫い付ける。フタも本体もあらかじめ縫い穴を開けてあるので、最後は楽勝と思っていたのだが……2列の縫い穴の間にゴム系接着剤を塗り、互いの縫い穴が合うように貼り付ける。そして縫っていくわけだが、二重底にした革が縫い目にかぶさり、また針が妙に長いので、本体内部のせまい空間で苦戦を強いられる。しかしなんとか縫い付け完了。さらにフタの開け閉めを考え、縫い目の上3ヶ所にカシメを打って補強。これで完璧だ。

そして最後に、フタパーツに開けた穴にドクロのメダルパーツをネジ止めしてフィニッシュ。木城ツトム入魂のオリジナルツールバッグ、ついに完成!

……と思いきや、ここにきてバイクに取り付けることを考えると、ベルトの金属製バックルがバイクをキズつけるんじゃないかとか、ベルトは横に通すより縦に通した方がいいなどの細かい問題が発覚。再度細かい革パーツを切り出してベルトに縫い付け、ついに本当の完成と相成った。製作時間、約1週間の長きにわたる激闘であった。

b02.jpg総仕上げにラナパーというワックスを塗り込んだb03.jpg横から見るとこんな感じb04.jpg側面後ろ側。2本のベルトでバイクにくくりつけるb05.jpg本体後ろ側。強度を考えカシメを打ちまくった
b06.jpgそしてもちろん今回もオシャレなドクロ付きb07.jpgバックルも真ちゅう製のカッコイイものを装着b08.jpgフタを開けた状態。二重底になっているb09.jpg車載工具とパンク修理キットを入れてピッタリ

しかしここからは、完成時のイメージに直接影響する作業なのでだんだん難しくなってくる。本体パーツとフタパーツを何度も丸めて重ね、完成時のベルトの位置を見定める。位置を決めたら慎重に必要な穴を開け、コバ・裏面を仕上げる。本体にはまずベルト(長)を縫い付けるがカシメは打たず、バックルのついたベルト(短)を穴から通し、ベルト(短)、本体、ベルト(長)を3つまとめてカシメで打って留める。

これが金属製品だったりしたら1mmのズレも大変なミスになってしまうが、革の場合は柔らかく延びるので、少しぐらいのズレは吸収してくれるのがありがたい。作業中についた革表面のキズなども、味として見逃せる大らかさが初心者にはうれしいところだ。

さてフタパーツにはベルトの位置に合わせ、ベルトを通すベルト止めを縫い付ける。さらに見た目と強度を考え、両側にカシメを打った。また強度とは関係ないが、フタのふちを縫い、赤いステッチでオシャレに仕上げてみた。

一応防水対策として、各革パーツの裏面にはラッカーのレザーコートを、表面にはレザー用高級ワックスのラナパーを塗り込んだ。車載工具はナイロン袋にまとまっているので問題はないだろう。それよりこれから実際にバイクにつけて走ってみて、振動や風圧で型くずれしないかどうかが気にかかるところだ。

フタを開けてハーレー純正車載工具とパンク修理剤を整理して入れてみると、容量的に計ったようにピッタリ。ここまでは計算していなかったので(うかつ過ぎ)大きすぎても小さすぎても按配悪いことを考えると、これはうれしい偶然である。

では実際にボブ太郎につけてみよう。最初の構想ではエンジン前方下部にくくりつけようと思っていたのだが、スペース的にはこれまた計ったようにピッタリなものの、エンジンガードを留めている凶悪なU字ボルトの頭が4本前に突き出ていて、これをどうにかしないとバッグがズタズタに傷ついてしまうことは必至。まだまだハーレー初心者の私にはエンジンガードは外せないので、バッグは他の場所につけるしかない。

結局つける場所が見当たらず、ツールバッグとしては定位置のヘッドライト下につけることに。銃夢BBSでHNメキシコさんに助言されたように「ハンドリングが重くなる」のが気がかりではある。

しかしファットボブはフロントタイヤが太く、その分もともとフロントが重い(これがハンドリングに影響しないように、フロントフォークの角度が他のハーレーに比べて立ち気味になっている)ようなので、そんなに影響はないかも知れない。先日取り付けて走ったウィンドシールドも重さ2.5kgぐらいあるが、ハンドリングは特に気にはならなかった。ツールバッグは工具入れて重さ 1.5kg程度なので、しっかり取りつけてあれば問題はないだろう。

スタイル的にはハンドルライザーに取り付けたドリンクホルダーもあるので、フロントばかりゴチャゴチャしているが、まあ目印にもなるしこれも個性ということで、しばらくこれで乗ってみようと思う。ちなみに写真のドリンクホルダーには茶筒のようなものが入ってるが、これはサーモスの真空断熱ケータイマグというもの。別にお茶っ葉を運んでいるわけではない。

c01.jpgさっそくボブ太郎にくくりつけてみたc03.jpgちょっとゴテゴテ気味だがまぁ良しc04.jpgウィンドシールドにも合わせてみる

ツールバッグをつけた状態でさらにウィンドシールドも装着してみたが、ウィンドシールドはけっこう下の方も覆っていて、ツールバッグに接触するギリギリ寸前。走ったら振動でこすれてしまうことが予想されるが、これはもういかんともしがたい。この場合はウィンドシールド下部のふちに、ゴムのモールでもつけるといいかも。

そんなわけで、初の本格的レザークラフトとなったツールバッグ製作は成功と言っていいだろう。正直なところ手間を考えたら製品を買った方が安上がりだが、そこはやはり愛着の深さが段違い。自分で作ったのなら修理も自分でできるし、そこそこ手軽に実用品を作ることのできるレザークラフトは漢の趣味としてもオススメである。