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本革ツールバッグ製作記

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2009年9月9日 木城ツトム

今回は非常にインドアな話で申し訳ないが、本革のツールバッグを作るという、私にとっても初の試みとなる本格的レザークラフトに挑戦した記録である。

そもそも私がレザークラフトをしてみようなどと思ったキッカケは、ハーレーのディーラーの店内で見かけた、革製のドリンクホルダーノーベルレザークラフトのドリンクホルダー)だった。

「これくらいなら自分でも作れるんじゃないか?」と軽く考え、まずはアマゾンにてレザークラフト指南書「手縫いで作る男の革小物 [バイカー編]」を買って読んでみた。するとなんと、そのものズバリノーベルのドリンクホルダーの作り方が載っているじゃないか!これならすんなりいけると思い、茨城県にある超巨大ホームセンター・ジョイフル本田クラフトコーナーにて必要な工具や材料の革を購入、作ってみたらアッサリと出来上がった。革の厚みが足りなくてややフニャフニャしているものの、とりあえず実用に耐えるものに仕上がった。

これに味を占め、続いてクラフト社・ウォレット革セットを買ってきて製作。あらかじめ寸法通りに裁断してある革やファスナーが入っているキット品だが(わかりにくい説明書のせいで作るのに苦労したものの)レザークラフトの基礎が理解でき、かつ価格が安いのがうれしい。自分流にアレンジできる点もキット品の良いところだ。

2009_08_22_1.jpgレザークラフト第1弾、ドクロ付きドリンクホルダー2009_08_27_1.jpgVツインドクロ付きロングウォレット

さて、その他に革製品で欲しいものと言えば、バイクの車載工具を入れておくツールバッグである。すでにファットボブのボブ太郎にはデグナー製のサドルバッグをつけてあるのだが、車載工具やパンク修理剤などは意外とかさばってジャマなのだ。車載工具はツールバッグに収納し、サドルバッグの中は手荷物用としてスッキリさせたい。

しかし、である。最初に作ったドリンクホルダーは指南書の通りに作り、その次のウォレットはキット品。ツールバッグの作り方などどこにも載っていないし、現物を持ってないから構造は想像するしかない。すべてイチから考えて作らねばならないわけで、ここからが本当の意味でのレザークラフトということになろう。

レザークラフト初心者の私にはいささか敷居が高そうに思えるが、何事もやってみなければ次のステップに行けないのも確か。悶々と過ごす夏も終わろうかという8月29日、ついに意を決し、ツールバッグ製作に着手したのであった。

002.jpg材料となる3.5mmと2.5mmの革ロールa04.jpg接着剤、CMC(仕上げ糊)、染料、ナイロン糸などa05.jpgカッター、ヒシ目打ち、カシメ打ち、コバ磨きなどa06.jpgゴム台、スカイバー、木づち、カシメ打ち台

まずはホームセンターにて革を選ぶ。ひとくちに革と言ってもいろいろとあって迷うが、とりあえず丈夫そうな、厚みのあるラティーゴという革をチョイス。これは本体に使うため厚さ3.5mmのものを選んだ。値段は写真のロール(上)で4000円弱。さらにバッグ側面とベロ、それとベルト類に使うための、やや薄いオイルレザーという革も購入。厚さ2.5mmで、値段は写真のロール(下)で3000円弱。それぞれ小さいバッグひとつ作るくらいなら余裕の大きさがある。

道具類もカッター、木づち、ゴム台、フェルトから、ヤスリ、ヒシ目打ち、ヘリ落とし、ハトメ抜き、スカイバー(革をすく道具)、ヘリ磨き、縫い針などなど、さらにナイロン糸やロウ(糸をロウ引きする)、カシメなどの金具類、CMC(革の裏や断面に塗って毛羽立ちを抑える仕上げ糊)や染料、接着剤などの消耗品も必要だ。

000.jpg適当な紙に適当な展開図と完成予想図を描く001.jpg工作用紙を使って各パーツの型紙を製作003.jpg2.5mm革で側面とベロパのーツを切り出す004.jpg側面パーツの縫い代を外側に折り曲げる

ではいよいよ製作開始。適当な紙にいいかげんな完成予想図を走り書きし、展開図を作ってみる。横幅は26cm(調整分を考えて+1cm)、直径10cmの円筒形として設計。形は横から見て完全な円形ではなく、馬蹄型という少しゆがんだ円形にしたい。

切り出す革パーツは、バッグの基礎となる本体パーツ、ほぼ同じ大きさのフタパーツと、側面パーツ、フタの隙間をふさぐベロパーツを左右2つずつ、フタの上に通すベルト(長)と下からのバックルを付けるベルト(短)、そしてバッグをバイクにくくりつけるベルトの各2本ずつ、計6本用意する。

側面パーツは本体パーツに縫い付ける「縫い代」のため、曲線の周囲を5mmほど余分に切り出したのだが、これを外側に折り曲げなければならない。紙ならいざ知らず、厚みのある革でそんなことができるのかと思ったが、裏側から水をひたして丁寧に曲げていき、乾かすと見事に曲がったままになった。

しかし実は、縫い代はもっと余分に大きく取っておくべきだった。この部分の断面(コバ)は、最後の最後に本体パーツと縫い合わせてから仕上げ処理をする製作の山場になるのだが、縫い代が小さ過ぎるとコバの仕上げがきれいにできないのだ。