ページ2 of 茶房・風雲庵

高倉観音ツーリング
千葉県木更津市 高蔵寺

title.jpg

2016年11月3日 木城ツトム

さて境内を見て回ったら、いよいよ高倉観音の目玉コーナー「観音浄土巡り」へと向かう。案内にそって本堂の左側へ進むと、本堂の高い床下を利用した展示スペースの入り口がある。そもそも「高倉観音」とは高さ3.6メートルの木造の観音さまなのだが、大きすぎて本堂にそのまま入らず、床をくり抜いてムリヤリ立たせたという変わり種の本尊。床下から見ると観音像の全身が拝めるのだが、ついでにそのスペースにいろいろなものを展示することで「観音浄土巡り」コーナーが誕生したらしい。

受付の人の良さそうなおじいちゃんに300円を払っていざ入場……とその前に「ここは写真撮っても大丈夫ですか?」と訊いてみると、「ああ、中に撮影禁止って書いてあるけど、撮ってかまわないよ。たくさん撮って宣伝してください(笑)」と言われ、安心してカメラ片手に入場。中は照明があるものの薄暗く、エンドレスで歌のようなお経がスピーカーから流れている。

017.jpg本殿の横にまわると、床下の部分に「観音浄土巡り」の受け付けがある018.jpgもうすでに中からお経が聞こえてくる。入る前から漂う激しいB級感019.jpg「観音浄土巡り」内部。仏像からお面からよくわからないモノまでビッシリ020.jpgこのような猫の像の他にも、牛や馬や豚、他にもさまざまな動物が並ぶ
021.jpgこの足ツボマッサージ器みたいなのは、禁煙を願掛けする巨大キセル022.jpgかわいいタヌキやカッパや鬼、なぜか武者人形まで。観音様となんの関係が…023.jpg観音様もびっくり!西洋の貴婦人が、角度を変えると恐ろしい顔に(笑)024.jpg吊るされたガイコツ、斧をもって生首をかかげる男の像、鬼の面が並ぶ
025.jpg「屁のカッパ」と書くつもりが「カッパのカッパ」になっちゃってる026.jpg木の棒で背中のギザギザをなでるとコロコロッと鳴く木製の「鳴きカエル」027.jpg巨大なパワーストーン?が鎮座。もはや極楽浄土とかまったく関係なし028.jpg大きめの白衣観音像。まじめな仏教系とそれ以外のカオスなコラボ

よくある「地獄極楽めぐり」みたいなものかと思っていたが、実際には「怪し過ぎる骨董屋」といった雰囲気。ところ狭しと並べられているのは仏像や観音像のみならず、地方のおみやげのような鬼の面やタヌキやカッパ、さらには中国や東南アジアやインドで作られたような像、骸骨や石、縁起物の珍宝やビリケンさん、女人像や人魚像から果ては金のウンコまで、ありとあらゆるものが仏教に結び付けられて展示されているのだ。

住職が個人的趣味で収集したのかも知れないが、とにかくその密度とサービス精神がスゴイ。この日は気温が30℃を超える真夏日、冷房のない床下で汗ダラダラ、エンドレスのお経が延々と流れるこの空間に意識は朦朧となり、フラフラしながら写真を撮り続けた。入り口から奥へ3つの展示スペースがあり、2番目のスペースに本尊の全身が見られる祭壇がある。しかし他の展示物に圧倒されて、もはや観音像程度ではなんの驚きもない。ただ一番奥、3番目の展示スペースはちょっと空きが目立った。話によると、ここには縁起物のシモネタ系展示物がたくさん展示されていたようだ。昨今の事情を鑑み、シモネタ系展示は控えめにしたらしい。

ここに載せた写真でも、展示物全体の半分にも満たない。その全貌は、ぜひ現地へ行ってご自分の目で確かめていただきたい。

029.jpg馬と豚のコーナー。交通安全やら蹄鉄やら、幸運なものを寄せ集め030.jpg出ましたビリケンさん。しかし「奇怪な神の姿」とかハッキリ書かんでも031.jpg壁にはありがたい言葉や仏教説話などを展示。これは釈迦の弟子・目連の話032.jpgなんとも味のある、ひっくり返ったカエル大小。緊張感まるでなし
033.jpgリアルな木彫りの白蛇。一見本物のニシキヘビあたりの剥製にも見える034.jpgいよいよ「高倉観音」の足元が拝める場所に。観音様の手の形のイス035.jpg大きさ3.6メートルの本尊、観音菩薩像の足。床をぶち抜いて建っている036.jpg観音像の全身は、足元から見上げると見れる。それにしても不思議な構造
037.jpg寺院系の珍スポットには必須の男根オブジェ。これ以外にもたくさん038.jpg3つ目の展示スペースは、秘宝関係の展示が少なくなってちょっと空き気味039.jpg見た目が怖い、びんずる尊者像。釈迦の弟子で「おびんずるさま」とも040.jpg東南アジア系?の女神像と、高村光雲の有名な彫刻「老猿」のレプリカ

さて暑さでフラフラしながら「観音浄土巡り」から出てくると、本堂の裏手にもなんだか怪しいものが置かれている。「胎内くぐり」という穴の空いた石があったりするが、いちいち「ひとくぐり100円」とか書いてあるのが気になる。まあ家族連れの参拝者を相手にした、ちょっとしたアミューズメントパークといった感じなのだろう。私はと言えば、あまりの暑さに100円払って穴をくぐる気力もなく、すぐさま次の目的地へ向かうことにした。木更津市内にある、日帰りの温泉施設である。