ページ3 of 茶房・風雲庵

日帰り大谷観音
大谷寺(栃木県宇都宮市大谷)

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2009年7月27日 木城ツトム

本殿に入ると、立派な祭壇の奥にいきなり大谷石の岩壁があって、そこに3mぐらいの大きさで千手観音が彫られている。下からのライティングで浮かび上がる磨崖仏レリーフは迫力があるが、残念ながら中は撮影禁止。案内の看板の写真で雰囲気を想像してもらいたい。

今は石肌が露出している千手観音は、昔は金箔が貼られて黄金に輝いていたという。その他の如来像なども色が塗られてカラフルだったらしいが、本堂の度重なる火事によって焼けてしまい、ナチュラルな岩肌になってしまったそうな。

023.jpg写真は案内の看板。左の千手観音が大谷観音像020.jpg本堂脇のお稲荷さんをモノクロ写真で021.jpg裏手にある弁天池。コイが餌を欲しがってよってくる022.jpg毒を持つ白蛇の模型。白蛇を弁財天として奉っている

かつてこの土地に流れていた川には白い毒蛇が棲んでいて、その水に触れるだけで病気になったり死んでしまうので、土地の人々はとても困っていた。人々がこの地を捨てようとしていたところ、我らがスーパーヒーロー・弘法大師がさっそうと現れ、10日ほどでちょちょいと白蛇を退治し、ちゃっちゃと千手観音像を彫り上げて去って行ったという。まさに電光石火の早業である(笑)。

その白蛇を弁財天として奉った池が本堂の裏にある。「毒を持つ白蛇」というのは、地下からの鉱毒で白く濁った川の水をキャラクター化したものなのだろう。ユーモラスな白蛇の模型が置いてあった。

さて大谷寺を出て、炎天下の広場へと向かう。最後の見どころとなる巨大な平和観音像を仰ぎ見る。高さ約27mとそう大きいわけでもないが、まわりの岩壁によるものか、かなりの迫力がある。無垢の大谷石でできた観音様なので中には入れないが、階段で肩の辺りまで登ることができる。が、当日のうだるような炎天下でそんな暴挙を犯す元気はなく(昔来た時に登ったので今回は見送り)、そのまま歩いてボブ太郎を停めた景観公園へ。

024.jpg大谷寺前の広場。この岩壁だけでも圧巻025.jpg大谷石を削って作られた巨大な平和観音026.jpg広場への通り道。混雑してないのがイイ

それにしても驚くのは、この辺りにあるごく普通の一般住宅も、総石造りだったり岩盤を切り開いた中にあったりすること。この感覚はちょっと普通の町とは雰囲気が違う。洞窟みたいな岩のくぼみを駐車場にしていたり、なかなか魅力的な住居が多い。「こんなところに住むのも良いなぁ」と思わせるものがあった。

時間的にはまだお昼前だが、あまりゆっくりしていて雨が降ってきたらヤバイので、ここらで帰ることに。だがせっかく宇都宮まで来たのだから、宇都宮名物と言われる餃子を食べてから帰りたいのが人情というもの。そこで宇都宮ICまでの道をフラフラしながら餃子専門店を探してみたのだが、これがさっぱり見当たらない。なんか寿司屋の方が多いような……。

どうも宇都宮の中心地まで行かないと餃子専門店はなさそうである。そうこうしているうちに宇都宮ICまで来てしまったので、やむなく東北道に入り、途中の大谷SAで餃子定食を味わった。値段が800円とけっこう強気な設定だが、ちゃんと注文してから焼いている餃子はニンニクが効いていて実に美味。皮のパリパリ感も申し分ない。

027.jpg景観公園の小川。ちょっとは夏らしい涼しさを028.jpgこんなところにも大谷石を切り出した跡が残る029.jpg魔物が潜んでいそうな穴030.jpg宇都宮といえばやはり餃子。SAとはいえなかなかウマイ

さて帰りの東北道、行きが向かい風だったのだから帰りは追い風かと思っていたら大間違い、帰りは行き以上の猛烈な向かい風が吹きつけてくる。行きではびくともしなかったボブ太郎だが、帰りの暴風の中ではさすがにあおられてスピードが出せない。どのみちボブ太郎はまだ慣らし運転中なので飛ばしはしないが、それにしても向かい風にあおられながら走るのはどうにも骨が折れる。

午後3時半ごろ、自宅に無事到着。往復で約281kmと軽めのツーリングだったが、風がなければ全然疲れずに帰ってこれただろう。気になる燃費だが、ボブ太郎は途中で一度給油したものの10リッター弱しか入らず、計算してみるとだいたいリッター24km走ったことになる。追い風や一般道のことも考えればなかなか優秀だ。初ツーリングとしても充分楽しめた内容だったが、もう少し風が穏やかだったら最高だった。