ページ2 of 茶房・風雲庵

日帰り大谷観音
大谷寺(栃木県宇都宮市大谷)

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2009年7月27日 木城ツトム

「大谷景観公園」からすぐ近くの砂利道を上っていくと、四角に切り取られた巨大な大谷石の岩壁に囲まれた駐車スペースがあり、その横手にある建物が「大谷資料館」のようだ。休日なだけあって他の観光客もぞろぞろと集まってきている。入場料を払ってまずは奥の資料室へ。そこで昔の石切り道具などを見たあと、いよいよ階段を下りて地下の石切り場へ潜入だ。

008.jpg大谷資料館。見どころは地下にあるので建物は小さい009.jpg階段を下りると地下の冷気がヒヤリ010.jpg想像を絶する地下巨大空間011.jpgアートなオブジェなんかも展示されている

当然のことながら、壁も階段も天井もみんな大谷石。まるでピラミッドの内部のようだが、進んで行くと今度は中の広さに圧倒される。天井の高さが10mくらいありそうな巨大空間が奥まで続いている。

中は鍾乳洞のごとく冷気で満たされていて、石からしみ出た水が足元に流れる。こんな巨大空間を(すべてではないが)手で掘ったというのだから気が遠くなる。中の広さは東京ドームが入ってしまうほどの大きさなのだとか。人力のすごさにただただ脱帽。

猛暑の中を走ってきた身にとっては、地下のひんやりした空気はありがたい……と思っていたが、そのうちだんだん寒くなってきた(笑)。中は年間通して約8℃くらいだそうで、戦時中や戦後には食料貯蔵庫としても使われたらしい。今ではこの中でコンサートや演劇なんかもやるそうだが、それって観てる方もやってる方も寒いんでは……。

012.jpg壁に見えるシマ模様が、切り出した時の手彫りの跡013.jpg機械を使った石切り場でセルフ記念撮影014.jpg地下ダンジョンRPGの実写映画ができそう015.jpg巨大な空間の向こうに外界へつながる穴が

地下世界をひと通り堪能し、資料館から外へ出ると外気温との差でメガネが曇って真っ白に。あれほどどんよりと曇っていた空には晴れ間がのぞき、外界はすでに夏の炎天下となっている。汗をふきながら道なりに歩いていって、今度は大谷観音がある大谷寺へ。

大谷寺の正面には広場があり、そこには高さ約27mの巨大観音像があるが、こちらは「平和観音」という戦没者慰霊のために戦後になって作られたもので、ややこしいが大谷寺の磨崖仏「大谷観音」とは別のもの。本来の順路とは逆になってしまうが、磨崖仏を拝むべく大谷寺から突撃。

この地は縄文人の埋葬された骨が出てきたりして、古代からの聖地らしいとのこと。大谷石の壁面に彫られた大谷観音は弘法大師の作と伝えられるように、大谷寺の創建は平安の昔にさかのぼるらしい。しかし建物はしょっちゅう火事で焼失しているらしく、現在の本殿もそう古くはなさそう。寺の規模もごく小さめである。

016.jpg日曜日なのでお客さんもけっこうたくさん017.jpg資料館の駐車場。カメラレンズもメガネも曇って真っ白018.jpg大谷観音がある大谷寺の山門。仁王像が目を光らせる019.jpg洞窟に半分のめりこんだ大谷寺の本殿