ページ３ of 茶房・風雲庵

さて三笠艦内を奥に進むと、ごっつい鉄のトビラから上級士官用エリアへと続いている。士官用の個室には豪奢な木製家具やソファが並んでいる。当時どころか今でも相当な豪華さだ。バスルームはオシャレだし会議スペースも豪華な雰囲気が漂う。ちなみにこの三笠は日本の戦艦だが製造はイギリスだそうで、こういった調度品もイギリス製なのかも。しかし会議スペースの両側に機関砲が並んでいるのはさすが戦艦といった感じ。

やはり戦争の資料館だけあって戦死者の遺品や神棚なんかも飾られているが、第二次大戦のものと比べるとあまり陰気臭さが感じないのは、やはり勝った戦争だからなのか、あるいは百年も前のものだからか。

そうこうするうちに午後１時を過ぎてしまったので、あわてて三笠を出て次の目的地に向かった。目指すはここから数キロ内陸にある、真言宗のお寺・定泉寺（じょうせんじ）。横浜市栄区の田谷という町にあるこの寺には、僧侶が手で掘り進めた『ユガ洞』という洞穴がある。洞穴好きな私としては、ここはやはり外せないスポットだ。

事前にセットしておいたナビに従い、ボブ太郎を走らせる。だんだんと田舎っぽい風情になっていくが、入り組んだ田舎の道でもナビゲーションは完璧。ほどなく田舎の風景の中に健康ランドが現れた。この健康ランド『大船ラドン温泉』にくっつくような格好で、となりに目的地の定泉寺がある。

ボブ太郎を停め、とりあえず定泉寺へ。造りはきちんとしているが、規模はごく小さめ。となりのラドン温泉の水音が聞こえてくる。受付で400円を払うとローソクを１本渡され、ユガ洞入り口に用意されているローソク立てに立てていよいよ入洞。ユガ洞の入り口は小さくぽっかりと開いているだけなのだが、何やら得体の知れないオーラが漂っている。

中は真っ暗だが、入るとすぐのところに火のついたロウソクが立ててあり、そこで手持ちのローソクに火をつけ、先に進むことになる。少し行くとところどころに電灯がついているのだが、手持ちローソクの細い明かりが怪しい雰囲気を醸しだす。またローソクの火が消えないよう、そろそろと進まなければならない。

洞穴の壁はノミの跡でボコボコしているが、よく見ると神様仏様、龍や干支の動物、梵字などがあちこちに掘り込まれている。また細い通路は枝分かれしており、かと思うといきなり天井に穴が開いていたりする。そろそろと進むと円筒形の部屋に突き当たる。仏像が彫られていて、水がチョロチョロと流れていたりする。こういうのがそこかしこにあって、RPGの地下ダンジョンのような様相を呈しているのだ。

そのうちに通路が上に向かったかと思うと、足元に穴が開いている。これはなんと、先ほど天井に開いていた穴ではないか。左右だけでなく上下にも入り組んだ立体迷宮なのだ。このユガ洞は鎌倉時代に開かれたと言われており、長い年月をかけて僧侶たちの手で掘られ、修行の場となった洞穴らしい。度重なる地震にも耐えたというのだから驚くほかない（ところどころ崩落していたが）。

……とここまで解説しておいてなんだが、残念ながら洞穴内部は撮影禁止。中の様子を写真で伝えることはできないので、ぜひ実際に足を運んでいただきたい。「日本にもこんなところが！」と思うこと必至の、地味ながらオススメの歴史スポットである。

ユガ洞を堪能した後は、せっかくとなりにラドン温泉があるのでここはひとっ風呂あびることに。この日の気温は20℃を超えていて汗だくだったのだ。風呂の規模はいささか小さいが、茶色い湯の温泉とガラス戸に囲まれたラドン温泉、そして小さな露天風呂で極楽気分。平日の昼間だったが地元のオッサンたちでそこそこにぎわっていた。料金がちょっと高め（1500円！）なのがアレだが、利用しやすさでオススメである。

そんなわけで夕刻には自宅に戻り、今回の日帰りツーリングは無事終了。走行距離は約202kmでプチツーリングという感じだが、渋滞に２度ほど巻き込まれたからか時間がかかった感じ。帰宅後に、自分用のおみやげとして三笠公園で買った「旗艦三笠コーヒー」を味わう。200gで800円とかなりの高級品だが、渋味と酸味のバランスが良いまろやかな味でグー♪

今回は目的地を２ヶ所にしたため、いささか急ぎ足のツーリングになってしまったが、ヨコスカ方面もまだまだ面白そうなので機会があればまた行ってみたい。また関東近郊でオススメスポットがあれば（心霊スポットでもOK）ぜひ教えていただきたいと思う。(^^