通路を歩いてぐるりと回ると、艦中央の操舵室に入る。ここも資料室になっており、当時の遺品や船の模型、また日露戦争の決戦となった日本海海戦を電動のパノラマ模型図でわかりやすく解説している。
私は特に軍事マニアでもファンでもないので、「日露戦争」と言っても漠然と日本の艦隊がバルチック艦隊を破った、くらいにしか知らなかったのだが、当時の状況を詳しく知るとなかなか面白い。
そのころの戦艦というのは(前ページの通り)横っ腹に大砲が並んでいたため、進行方向に撃つより横に向けて撃った方が攻撃力が高い。そこで日本海軍はロシア・バルチック艦隊に対し、敵艦隊の進行方向をさえぎって横っ腹を見せて攻撃するという「丁字戦法」を選択。この時、日本艦隊の旗艦・三笠は敵の目前で艦隊の進行を反転させるという有名な「トーゴー・ターン」を行った。「トーゴー・ターン」と言っても別に東郷平八郎の番という意味ではなかったのだ(私は単にUターンしただけなのかと思っていた)。
敵の目前で旋回するというのは素人目に見ても危険に感じる(やはり当時の戦術としても突拍子もないやり方だったらしい)が、当時はレーダーなどというものがなく、敵船に砲撃するには、目測で敵船の進行方向に向かって撃っていた。そのために旋回していると目標の位置が定まらず、旋回が終わるまで撃てなかったらしい。戦争とは言えアナログ的な風情が感じられる。
参考資料:Wikipedia 日露戦争/日本海海戦
結果、当時最強の艦隊と呼ばれていたロシア・バルチック艦隊の19隻を撃沈、残りもだ捕するなどして完全勝利を収めた。単なるアジアの1小国でしかなかった日本がロシアを破ったというのは、世界中に相当なインパクトを与えたらしい。アジアや中東諸国、また西欧の弱小国(フィンランドなどロシアに苦しめられていた小国)には痛快な、西欧列強には衝撃的ニュースとして伝えられたとのこと。この時の勝利がなかったら、今の日本も相当変わっていたかも知れないと思うとなかなか感慨深い。