ハッと気づけば、前回のバイクツーリングから1年経ってしまった!南関東の桜はすでに散ってしまったが、季節はまだまだ春爛漫。今から北に向かって走れば、きっと桜が見られるはず。そこで行き先を群馬県は高崎市、榛名山山頂にある榛名神社に定め、その帰り道に伊香保温泉郷に寄っていって温泉に入り、ついでに「日本三大うどん」に数えられる水沢うどんを堪能してこよう!というのが今回の計画である。
4月の後半は晴れたり雨だったりと安定しない天気が続いていたが、やっと丸1日晴れ模様という晴天の20日、朝の9時に家を飛び出した。群馬への道はいつも通り、常磐道〜外環道〜関越道というルートである。群馬県に入ってすぐの前橋市で関越道を降りて、一般道で榛名山へ向かう。もくろみ通り、群馬はまだ桜がちらほらと咲いていて新緑との対比が美しい。よくある桜並木のようにピンク一色で人工的過ぎないのも、群馬の桜の魅力だ。
前橋市は山に囲まれてて全体的に標高が高いのか、市街地を抜けるまでは長かったが、榛名山に入るとすぐに榛名神社の鳥居前にたどり着いた。ピカピカの赤い大鳥居の前に、無料の市営駐車場があったので思わずそこに停めてしまったが、ここから山門までのゆるやかな坂道が長い。早くもヒィヒィ言いながら歩いていくと、道の両脇に「〜坊」と書かれた木の標識がたくさん並んでいる。「あー宿坊(お坊さんが泊まる宿)があった場所か」となんとなく思っただけで、その時は妙なことに気づかなかった。
早くも汗をしたたらせながら、やっと山門にたどり着く。ここで中を見てハッと思った。普通のお寺なら仁王像が左右に立って門を守っているが、ここ榛名神社の山門はリアルな武人像なのだ。ここで、そういえばここが寺ではなく「神社」だということに改めて気づく。ならばさっきの「宿坊」の標識は何なのか??実は榛名神社は古くから神仏習合により、寺の管理下にあったらしい。「宿坊」があったのはそのためだったわけだ。
さて威厳のある古い山門の横を見ると、新しい毘沙門天のブロンズ像が無造作に建っている。これも「?」だったが、参道を進んでいくうちに謎は解けた。本殿までの道中に、七福神の像ひとつずつが建っているのだ。参道の脇には大きな杉の木が立ち並び、下からは渓流の流れの音が聞こえてくる。七福神の像や石碑が建っていたりして、道中を飽きさせないサービス精神?が伺える(笑)。
しかし日ごろの運動不足でたるみ切った私の体はもうガタガタ、息を切らしながら汗だくでヨロヨロと先へ進んでいく。すると道の脇に大きな石碑がふたつ並んでいる。その石碑の文字を見てビックリ、その名も「ハケブラシ塚」。石碑のとなりには筆やハケを焼いて供養するための焼却炉もある。碑を建てたのは「東京ブラシ講」。東京のブラシ関係者が、わざわざ群馬の榛名神社に来て参拝しているのも面白い。
さて坂道の参道が終わると、次はいよいよ恐怖の石段。杉の木と溶岩質の巨石の間を上っていくと、またしても古い門がそびえている。そこからさらにフゥフゥ言いながら上っていき、やっと榛名神社の本殿にたどり着いた。朱塗りの彫刻が施された豪奢な本殿は、日光東照宮の小型版という感じだ。