渋滞を抜けたあとは何事もなく快調に走って、11時ごろ「さざえ堂」曹源寺に到着。しかし走行動画を撮影していたソニーのアクションカム『HDR-AS300』のメモリーカードが、突然いっぱいになって終了してしまった。どうやらウッカリして、以前の動画記録を残したままにしてしまったらしい。一般道に降りてからの動画が撮影できてなくて残念。
さて「日本最大のさざえ堂」を謳うここ曹源寺、パッと見、歴史を感じる重厚さはあるものの、建物や土地の規模はそれほど大きくない。むしろ「こぢんまり」という表現が似合う、田舎の片隅にあるお寺と言った風情だ。山門を守る仁王も実に素朴な、味のある表情をしている。山門をくぐると2階建ての立派な本堂が見渡せるが、どうも他に参拝客はなく、静かでがらんとしている。
ここで「さざえ堂」の解説をしておくと、お寺の中をらせん状にのぼる回廊があり、最上階から折り返すことなくそのままらせん状に降りて元の位置に戻るという、非常に複雑な作りのお堂のこと。回廊づたいに100体の仏像が並べられ、ひと巡りするだけで100カ所のお寺を参詣することができるという、非常に便利なお寺でもある。江戸時代中期に発案され、かつては関東〜東北にかけてたくさんの「さざえ堂」があったという。「さざえ堂」と言うと福島県会津若松市の「会津さざえ堂」が有名だが、現在残っている中ではここ群馬県の曹源寺が最大規模のものらしい。
本堂の中に入ると住職が現れ、受け付けで大人ひとり300円払って回廊を進む。回廊の壁にはずらりと仏像が安置されている。金箔によって金色に輝く仏像は、迫力があるものの、どこか素朴な味のある顔。仏像以外にも観音像やホテイ様、おびんずるさまなどが展示されている。細い階段をのぼって2階へと進むと、ここにも金ピカな仏像たちが立ち並ぶ。外から見た曹源寺は2階建てに見えるが、中は3階建ての構造になっており、さらに上に最上階がある。
1階に並んでいた仏像と比べると、2階の仏像たちは顔つきが穏やかでスマートさがある。造りも緻密で、どうやら作り手の腕の差が現れているようだ。
回廊をさらに進むと、廊下の角にガラスケースがあり、中に石像が展示してある。なんとも味わいのある鬼の像、お地蔵様と不気味なハダカの子供たち。どうやら賽の河原のジオラマらしい。なんの解説もなく唐突に置いてあるのでビビるが、参拝客を楽しませようというサービス精神があふれている証拠だろう。
3階の最上階には、やはり金ピカの仏像たちに囲まれた本尊の千手観音像が鎮座している。仏像ひとつひとつより、その数の多さに圧倒されるわけだが、さらに気になるのが、仏像のうしろの壁に書かれているたくさんの文字や絵である。素朴なタッチで意味ありげな絵がたくさん描かれているのだが、内容の解説が欲しいところだ。
さて本尊の千手観音像を過ぎて回廊を曲がると、突然、超カラフルな極彩色の大きな像に出くわす。ハデな赤い服を着た目つきの悪いおっさんなのだが、なんとこれは聖徳太子の像。そのとなりには小鬼を連れた地蔵菩薩、さらに奥には真っ黒な不動明王が並んでいる。にしても聖徳太子だけデカイのはなぜなのか。