視界が開けて川幅が広くなったところで、平面的な川面の中央にスケール小さいナイアガラの滝が姿を現した。平面的な川なのに滝というのはどういうことかと言うと、川底が深くV字にえぐれており、そこに水が落ち込んで滝となっているのである。
上流からだけでなく、四方八方から窪みに流れ込む水流の迫力がすごい。また小さいナイアガラとは言え、落差は数メートルはありそうだ。順路を進むにつれて、滝を違う角度から見ることもできる。そこから先は川幅が広がり、流れが穏やかになっている。川の中央には島があって吊り橋がかかっているが、この日は通行止めで島へは行けなかった。
確かに『袋田の滝』などと比べるとスケールは大きくないのだが、すぐ間近で見られる生の迫力、そして起伏に富んだ川の中にある滝という「変わりダネの滝」としてなかなか見応えがあった。入場料は取られないし、1度は見ておいて損はない名勝だと思う。
さてこの日は日中の気温は20℃オーバー、さらに初夏のような強い日差しで、ちょっと歩いただけでかなり汗をかいてしまった。この後はバイクツーリング恒例、近くの日帰り温泉に入ってから帰宅する予定である。そこで、あらかじめナビに入れておいた温泉施設「吹割温泉センター竜宮の湯」へと向かった。『吹割の滝』からすぐ近くにある温泉……のはずなのだが、どうもそれらしい建物が見当たらない。代わりに「屋内プール」とかいう施設があるので近寄ってみると、温泉センターもその建物だった。ところがその日はなんと休業中。客が少ない平日はやっていないのか。
しかし汗をかいて体がベタベタなので、ここはどうしても温泉に入りたい。ナビの検索機能を使って、もう少し下流にある「老神(おいがみ)温泉郷」にある日帰り温泉施設『湯元華亭』にターゲットを定めた。川沿いの細い道をゆるゆると進むと、ほどなく老神温泉郷に入った。狭い土地に旅館がひしめいている、古い温泉郷のようだ。車1台分の幅しかない橋を渡りって『湯元華亭』に到着。こちらはちゃんと営業している。
料金は3時間で700円とちょっと割高。施設は少し狭いがきれいで新しい。お湯は少し硫黄臭のする透明な湯質で、入ると皮膚がすぐスベスベになる。内風呂がひとつ、露天風呂が5つほどあるのだが、打たせ湯がふたつあるくらいで、湯船は広くない。他に客がほとんどいなくて貸し切り状態だったのでゆっくり入っていられたが、脱衣所も狭く、小さいロッカーは有料(100円)と、マイナスポイントが目につく施設だった。お湯はよかっただけに残念。
その後は一般道から関越道に入り、途中の高坂SAでラーメンを食べてから夜7時ごろ無事帰宅。この日のツーリングは風も強くなく、気温も高かったので、非常に快適に走ることができた。走行距離は約378km、燃費は脅威のリッター23.2kmをマークしたが、これはちょっと良すぎるので誤差があるかもしれない。しかし春のツーリング、かつグンマーを走るのは実に心地いい。今後もちょくちょくグンマーに行ってみたいと思っている。