順路を進むと、まず人形による江戸期の採掘作業の再現シーンが現れる。ボタンを押すと電動で手が動いたり会話テープが流れたりして、当時の様子がわかるようになっている。当時はここで採れた銅の鉱石で銅貨(寛永通宝)が造られていたという。約400年も昔に発見された足尾銅山はピーク時には年間1200トンもの銅を産出し、この周辺は鉱山の町として非常に発展し、「足尾千軒」と呼ばれて栄えていたらしい。
続いては明治・大正時代の採石作業。このころからすでに電動の削岩機(足尾式削岩機)を使って採掘していることがわかる。また輸送に馬車に代わり鉄道が使われるようになり、海外の技術も採り入れて一気に近代化したという。
さらに進むと昭和時代になる。ダイナマイトによる発破作業の様子や、坑夫たちの食事シーンなどが人形で再現されている。坑夫たちによるリアルなバカ話まで再現されていて面白い。また通路の途中に、突然人形が設置されてたりするのでビックリする(笑)。
しかし展示されている坑道の長さは、せいぜい数100m?で終わり。坑道の終わりには小部屋があり、銅山の歴史を解説するビデオ、次に昔の銅の精製技術の展示スペース。坑内の展示はそこで終わり、外に出ると削岩機体験スペース(故障中)と古いトロッコ、そして別の建物に「鋳銭座」(江戸期の銅貨を製作していた場所)の展示があり、階段でおみやげ屋を通ってすべて終了。
正直なところ佐渡ヶ島の金山などと比べると坑道も短く、全体的なショボさは否めない。坑道を出てからの「鋳銭座」の展示は面白かったが、やはり坑道の展示をもう少し見たかったところ。規模や内容、派手さからしても佐渡の金山とは比べるべくもなかった。しかしこの銅山の坑道の実際の総延長は、なんと東京〜博多間に匹敵する1.200Km(1200mではない!)もあるそうで、それならもうちょっと規模を大きくして欲しいと思ってしまう。
そしてもうひとつ残念だったのが「鉱毒事件」についての解説がいっさいなかったこと。「足尾銅山」と言えば鉱毒事件で知る人も多いはずで、しかも町をあげて「負の世界遺産」登録を目指していると言うのだから、なおさら事件のことはきっちりと解説すべきだろう。ちょっと規模的にも内容にもモヤモヤ感の残る観光地であった。
さて足尾銅山を後にして、続いてはこの近く、日光市にある「やしおの湯」という日帰り温泉施設へと向かう。走り出すと、なぜか町のあちこちに警官が立っている。原付でもおまわりさんが走ってると思ったら、対向車線には白バイも走っている。あまりにも警官が多いので「交通安全週間ってまだ続いてたんだっけ?」とか思っていると、今度は対向車線から白バイが2台並んで走ってきた。よく見ると、後ろに黒塗りのセダンとワゴン車を従えて先導していたのだった。あの警官の多さからすると、皇室関係者かよほどの要人だったのか。
そうこうするうち、川沿いに建つ温泉施設「やしおの湯」に到着した。駐車場はすでにクルマでいっぱい、中も老若男女でにぎわっている。大人ひとり500円(日光市民は300円)という安さで、浴室はあまり広くはないものの、肌がツルツルする透明なお湯が気持ちいい。小さいながら露天風呂もあり、地元の人なのか外国の人もけっこう入っていた。この手の温泉施設としては珍しく「イレズミお断り」という注意書きがなかったので、外国人も入りやすいのかも。ちょっと込み気味であまりゆっくりできなかったが、温泉施設としてはなかなか良かった。
その後は東北自動車道の佐野SAで遅い昼食を食べ、夜7時前に無事帰宅。今回の走行距離は341km、給油量が15リットルだったので、風が強かったにも関わらず燃費はリッター22.7km!(これはちょっと燃費が良過ぎるので、誤差があるかも知れない)今回の内容はちょっとショボかったが、日光の道路は走ってて非常に気持ちよかったので、もう少し探索してみたいと思う。