文・構成 木城ツトム

そしてついに霊地・恐山が近いことを示す「宇曽利湖」(うそりこ)が姿を現す。すでに辺りには硫黄の匂いがたちこめ、この穏やかな湖がただの湖水でないことが感じ取れる。

硫黄の匂いに包まれて車を進めると、朱色の鮮やかな太鼓橋が目に留まる。恐山の、そして霊界への境界線「三途の川」をここで渡るのである…。


三途の川にかかる太鼓橋

霊界へと足を踏み入れる

橋の両脇には地蔵が

ちなみにこの時、気温は車の中で14度。外は長袖のものを着ずにはいられないほどの寒さであった。我々は渦巻く霊気を振り払うかのように、恐山の総門へと向かった。


総門わきの六大地蔵

恐山・総門

いざ恐山へ
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総門の後に現れる山門

恐山と言えば「イタコ」

老人たちでにぎわう

「恐山」と言えば、まず誰でも思い浮かべるのが「イタコの口よせ」である。お客の要望に合わせて死者の霊を自らに憑依させる霊能者たちで、主に盲目の女性が多いとされる。

実はこの「イタコ」、恐山とはなんの関係もないそうで、もともと土着信仰の中でこうした儀式が行われていたのが、いつの間にか恐山でも行われるようになったという。祭りに出る夜店のようなものだろうか。この日も「イタコ」のテントの前では、老人たちのにぎわいがあった。


いよいよ地獄めぐりへ

霊気が恐山を包む

写真を撮りまくる先生

今から1200年前、夢に現れた僧の言葉に導かれて慈覚大師円仁(じかくだいしえんにん)が見いだしたという恐山。まさに、霊山になるべくしてなったとしか言いようがない場所である。奇怪な岩山から蒸気が絶えず吹き出す様は、誰が見ても「この世」とは思えぬ壮絶な光景だ。


地獄の光景が広がる恐山

お堂にカラス

山から山門を望む
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