文・構成 木城ツトム | |
■ 第 1 章 恐 山 編 ■
(青森県むつ市田名部字宇曽利山) |
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かねてよりウチの先生(木城ゆきと)が望んでいた「恐山旅行」を、今年ついに実現する運びとなった。 そのきっかけとなったのは、今を去ること9年前。私、木城ツトムは友人らと共に夏の恐山に赴き、先生にみやげとして「交通安全・恐山ステッカー」を買って帰ったのだった。朱に梵字マークがまぶしいそのステッカーを先生はいたく気に入り、愛車スズキ・ワゴン-Rに貼り付けた。 その脅威の恐山パワーが効いてか、ワゴン-Rは事故も起こさず故障もせず走り続け、現在の先生の愛車であるクライスラー・PTクルーザーにその座を明け渡したのである(現在ワゴン-Rは先生に代わり私が所有)。 |
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PTクルーザー |
さて、そうなるとPTクルーザーにも「交通安全・恐山ステッカー」を貼りたい。北の大地に足を伸ばした経験のない、木城ゆきとのオカルト魂に火がついた。 |
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ところで、話は恐山ツアー決行日の数日前にさかのぼる。とあるオカルト関連の情報を入手した我々ユキトプロの2人は、ファミリーレストラン『ガスト』へと向かった。 この『ガスト』というファミレスには「プラスe」という液晶モニタの情報端末が設置してある。1回100円程度でニュースやゲーム、占いなどが楽しめるのだが、夏が近いこともあって心霊関係が充実していたのである。心霊ビデオや写真、また怪談モノでおなじみ稲川淳二氏の番組などがあり、我々は「なんだよインチキくせーなー」などとのたまいつつも、結果的に1000円以上をつぎ込むという愚挙を犯していた。 さてあらかたの心霊番組を見終わったころ、我々は最後に妙な番組を見つけた。その名も「心霊写真占い・怨霊の部屋」。やり方は極めてオーソドックスで、自分の名前と生年月日を入力するだけ。すると心霊写真に見立てた合成写真が現れ、非常にダークなお告げを聴かされる。 まぁ仕組みは他の占いと大差ないのだが、この番組では自分の持っているE-メールアドレスを入力することにより、その日から一週間、毎日占い結果をメールで送ってくれるというサービスがついていた。我々はアドレスを入力し、占いを終えて『ガスト』を後にした。 ところが、である。1人1回づつやった「心霊写真占い」であるが、メールサービスを開始した、という通知は2人分来たものの、肝心の占いメールが先生のだけ来ないのである。 何かがおかしい。何かが起こるとでもいうのであろうか。雲行きの怪しいままに「恐山ツアー」は決行の日を迎えるのであった。 |
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