お絵描き掲示板作品:No.19

[ 私を誰だと思っている ]

塾 長 解 説

とある銃夢ファンのサイトにて描いた、久しぶりのお絵かき掲示板作品。闘うヴァンパイア・カエルラ理事長の勇姿。使ったオエビは「お絵かき万歳」と同じ「しぃ掲示板PaintBBS」。ひとつ前のケイオス絵が昨年12月末なので、約10ヶ月ぶりの挑戦だ。今回は特に顔の立体感と、深みのある肌色をテーマに描いた。非常にシャッキリした絵に仕上がって、個人的には満足の出来。作業時間は7時間47分。途中カップメンを食べたりしていたので、実質的には7時間ぐらいだと思う。


制作過程解説

今まで描いたお絵かき掲示板の作品は、まだまだ満足いかない部分があった。
中でも立体感…手でつかみ取れるような立体感が足りない。それと人肌の深み。人の肌はただ「肌色」で塗っても、人形のようにペッタリとしてしまう。肌の色は肌を透かして見える肉の色によって違うし、充血している部分とそうでない部分、血管の色など、あらゆる色が重なって出来ている。今まで描いた絵ではどーしてもその辺が物足りなかったので、今回はその二つをテーマに絞って描くことにした。



1・下書き

まず下書きの段階では「立体感」のテーマを重視する。人の顔を立体的に捉えるには、ななめから見るのがベスト。中でも下からあおった構図は迫力もあり、難しいが挑戦のしがいもある。題材をカエルラさんにしたので、すぐに中国拳法の構えを取るバストアップの構図が浮かんだ。参考にする写真を適当に選んで完成図を頭で組み立てながら、下書きを開始する。

アプレット画面を開いたら、画面左上の「窓」ボタンをクリックして「窓モード」にする。こうするとキャンバスを大きくして拡大表示できる。当然解像度は元のままだが、細かい作業が容易になる。オエビの基本技。

しかし久しぶりのお絵かき掲示板だったので、昔の技法はすっかり忘れていた(笑)。自分で描いた「お嬢様アリタ」制作過程を読んでみると、2枚あるレイヤーの上位レイヤー(レイヤー1)に1ピクセル鉛筆で下書きするなんて書いてある。だが今回は何も考えず下位レイヤー(レイヤー0)に1ピクセル水彩ブラシで下書きした。要するにあくまで「下書き」なのだから、色つけの際の手がかりになればよいのである。イキナリ色を塗り始めても大丈夫!ってな人なら、無理に下書きなんかする必要もない。

ここでちょっと難しかったのは、構えを取るカエルラさんの左手。自分の手を参考にしたのだが、さすがにそのままではゴツ過ぎて女性の手に見えない。指や手首を細くしたりして調節した。また左手の向こう側に右手をのぞかせるかどうかでかなり迷ったが、構図的にゴチャゴチャしすぎるのでヤメにした。そのかわり右肩をちょっと上げることで、右腕も構えていることを暗示した。



2・人肌の下塗り

下書きが終わったら、私の場合まず塗り始めるのが「顔」。人の顔は描いていて一番楽しく、また難しいところだ。「お嬢様アリタ」制作過程にも書いたが「顔」はイラストの命なので、まず命を吹き込むのである。上位レイヤーに太めの水彩ブラシで、ボカシを充分に効かせてペタペタと色を置いていく。ここで今回の二つ目のテーマ「深みのある人肌」に挑戦。肌色にありがちな暖色系だけでなく、青色や緑色を乗せていく。特に緑は暖色系と相性がいいので使いやすい。しかしうかつにドバドバ使うと、色がゴチャゴチャに濁ってドドメ色になってしまうので、ここはひとつ慎重に。

人肌の基本的な色の置き方としては、出っ張っている部分(鼻や頬骨、アゴ、または手足や指の関節)には朱色系を置き、薄い肌色との境目あたりに緑や青を乗せていく感じ。



3・陰影の強調

陰影と言っても「カゲ」というのを意識しすぎないで、下塗りで使った色を徐々に暗くして使う。下塗りを無駄にしないように気をつける。ある程度立体感が定まったら、黒に近い赤や茶色を使って、細い線で目鼻、口元など、細部の輪郭を描く。下書きがいらなくなるぐらいにまで仕上げる。



4・髪の毛と服、背景の下塗り

下書きをいつまでも残しておくとレイヤーを活用できないので、ベタ塗りで髪の毛と服の下地を塗ってしまう。カラーリングに頭を使わなかったので、基本色はまたしてもムラサキだ。何も考えないとムラサキになってしまうのは、前世で何かをやらかしたタタリなのだろうか。

ついでに背景の夜空も適当な色に塗りつぶし、下位レイヤーに残っている下書きを「消し四角」で完全に消して、上位レイヤーを下位レイヤーと統合して下に移す。この段階では顔の塗りがほぼ終わって髪の毛を塗っているが、まゆ毛がないので恐ろしい形相だ。まぁヴァンパイアらしいと言えばらしいのだが。



5・服と細部の陰影と仕上げ

まゆ毛を入れたとたんにちゃんとした「人の顔」になるから驚きである。唇に朱色も入れ、べっぴんさんになったところで全体的な仕上げにかかる。首元のシワや黒を使った陰影の強調など。しかし毎度の事ながら、髪の毛の表現には苦労させられる。数色の1ピクセル線で描いていくのだが、どうしてもホウキのようにどっしり重々しくなってしまう。今後の課題である。



6・服と細部の陰影と仕上げ2

コートにも陰影をつけ、全体的な影の調整をしてチグハグにならないように統一する。かなりコントラストの強い絵なので、影の部分はしっかりとベタに落とす。



7・最終総仕上げ

最後に髪の毛のツヤと、ホワイトによる各部ハイライトを入れて人物は完成。ラストに背後の満月に薄い黄色で模様を入れた。光る満月と、その光によるハイライトで全体をまとめ上げた。画像の大きさは300×300ピクセルだが、描いている時は600×600ピクセル相当、部分的にはそれ以上に拡大して描いている。



おまけ:映画(風)『銃夢LO』

フォトショップでちょっとお遊び。別に何かの予告ではないので本気にしないように。


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