お絵描き掲示板作品:No.18

[ サムライソード ]

塾 長 解 説

お絵描き掲示板「お絵描き万歳」設置のため、参考作品として久々に描いた作品。サムライモード突入のケイオスである。当初は色をつけるつもりで制作に臨んでいたので、完成までえらく早かったような…。初の白黒作品。


映画「ラスト・サムライ」を見た影響で(笑)シブいサムライが描きたくなった。銃夢のサムライキャラということで電かケイオスのどちらにするか迷ったが、人の肌の質感が描きたいのでケイオスに決定。

サムライを描くとなるとキモはやはり「緊張感」である。緊張感のある黒ベタ背景というのが初めから頭にあったので、今回は新しい試みとして黒でキャンバスを塗りつぶし、白線で下書きを描き始めた。

自分でポーズをとった写真を参考に、慎重に構図を決めて正方形のキャンバスに当てはめる。黒背景は緊張感が手軽に出せる反面、超高速シャッターの写真のように絵が止まってしまう。そこに平凡な構図を入れると退屈な絵になってしまうので、構図にメリハリをつけて動きを出す。今回の構図は左目、右手、左肩の三角構図。実は正方形のキャンバスというのは構図が取りにくいので、思ったようにうまくいかない場合は縦長や横長のキャンバスにしてみるといいかも知れない。

最初はあくまでも「下書き」のつもりだったのが、描いてるうちに気合いが入りすぎてしまったので(笑)このまま白黒で行くことに。

水彩ブラシの「3」ぐらいの太さで、鉛筆で模写する要領で描き進める。線のたばを多方向に重ねていく「カケアミ」というテクニックだが、むやみに線を引くのではなく、あくまで立体の流れにそって描いていく。特に今回は肌の質感と布の質感に違いが出るよう心がけた。

今回の絵は立体の陰影が難しいポイントだが、アナログ画と違ってデジタルは後から修正が利くので描きやすい。とは言っても立体物としておかしなことにならないよう、注意しながら陰影をつけていかないと大変なことになる。

絵を見るとグレー色を使っているようにも見えるかも知れないが、実際に使っているのは白と黒だけ。色の濃度調整とカケアミ具合でここまで表現できる。今回は白黒だが(^^; もちろんカラー絵にも応用できる。

髪の毛、日本刀の刀身と反射光を入れた最終段階。影を濃くしたり、顔のヤケドの跡をさりげなく強調したりと、細部を手直し。このあと少し顔にハイライトを入れてフィニッシュ。

目が死魚のように濁ってるが、やはり人斬り直前の目はイっちゃってる方がよかろうと思い(笑)あえて活き活きとさせなかった。

やはり色がついてないと少し寂しいような気もするが、この絵に色をつけてしまうと逆に面白くないかも知れない。「どこで終わりにするか」というのは絵描きにとって非常に難しい問題である。

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