ブラウザでライブに絵を描くお絵描き掲示板の場合、私のように何時間もかけて絵を描くと、間違ってウィンドウを閉じてしまったり途中でフリーズしたりしてせっかくの絵が消えてしまう恐れがある。そこで途中途中の一区切りついた段階でスクリーンショット（Macintoshはcommand+shift+4を押して選択範囲をドラッグ、WindowsはPrtScr（プリントスクリーン）キーを押して「ペイント」などで貼付け）を撮っておく。そうすれば掲示板に投稿はできなくても、なんとか完全消失は免れることは出来るからだ。そうして残ったショットを使った「制作行程解説」がいくつかあるので、今回はそれを参照されたし。描いた当時の記録なので、製作中の四苦八苦も伺えると思う。

1・下書き

　まずは当然だが、どんな絵にするかを考える。今回のモチーフは『水中騎士』の主人公ルリハーと始めから決まっていたので（精進仲間でモチーフを決めて描いた）、後はそれをどう描くかだ。前回はガリィの顔アップだったので、今回はせめてバストアップにしようと考えていた。またテーマが「アダルティ」であったため、それなりに体を描く必要もあった。しかし真正面から堂々と描いては出来たあと削除されてしまうので（笑）「後ろ向き」という構図がすぐに決まった。資料になりそうな写真を集め、下書きに入る。
　お絵描き掲示板にはレイヤー0（下レイヤー）とレイヤー1（上レイヤー）の2枚のレイヤー機能があるが、透明レイヤーであるレイヤー1の方に下書きをする。下書きが出来た後、色塗りを下のレイヤー0にするという寸法だ。「鉛筆」ツールの1ピクセルで、納得いくまで描く。ルリハーは騎士なのである程度筋肉質にしたのだが、そのためにデッサンは困難を極め、この時点で2時間以上経過してしまった。

2・下塗り

　最初に肌の基本色となる薄い肌色で、レイヤー0全体を塗りつぶす。レイヤー1の下書きは表示したままレイヤー0に陰影をつけていく。図はレイヤー1の下書きを非表示にした状態。一応まつげの黒い部分や髪の毛の赤を塗ってはいるが、この時点ではまだ出来上がりに一抹の不安を覚えながら作業を進めている（笑）。しかしここはぐっとこらえて、地道に細かい部分の塗りを進めていく。この時点では、まだ左腕の肩と二の腕の太さを決めかねている。

3・本塗り

　これはもうかなり進んだ状態。要所要所を丁寧に仕上げていく。全体的な調子を見ながら、細かい陰影をつける。髪の毛の形も決めてハイライトも入れるが、この時点では髪の毛はまだ下塗り。背景は薄い水色で塗りつぶした。これはモチーフがルリハーであるため、イヤラシイ雰囲気にならないよう心がけたためである。ルリハーの思い詰めた切ない表情も、イヤラシクならないための手段である。

4・仕上げ

　本当はもっと髪の毛に力を入れたかったのだが、ライティングが逆光なのでバリバリにハイライトを入れるわけにもいかず、ちょっといいかげんに処理してしまった。また本塗りの段階では左腕が細すぎると判断し、若干太くしてたくましさを演出した。陰影の気に入らない部分を手直しし、最後にサラリとロゴを入れて完成。結局7時間もかかってしまって、まだまだ己の未熟を恥じる次第。