TEXT by 木城ゆきと
今回から数回にわたり、現在の僕のマンガ製作の実際を解説していこうと思う。 現在の僕の製作行程では、旧来のアナログ的技法とコンピューターを使ったデジタル技法が混在している。現時点でのそれぞれの長所を最大限に生かすバランスで作品を作っているつもりだ。 紙にインクで描くアナログ技法の解説はちまたにたくさんある技法書にゆずるとして、ここでは主にデジタル技法のテクニックに焦点をあてていく。 留意してほしいのは、コンピューター環境の発達により、ここで解説したやり方が将来すっかり変わってしまう可能性があるということ。 また、ここで解説するやり方は僕が独自にあみ出したものなので、他の作家は異なる方法を用いているかもしれないし、絵のスタイルによっては僕の方法がうまくあてはまらない場合もあるかもしれない。 そのへんはわきまえて読んでほしい。 ただ、僕はこの方法で1997年の「水中騎士」から現在の「銃夢LO」まで単行本にして7巻以上を描いているので、実戦テスト済みだという自負はある。 まず、マンガの製作がどんなふうに進むかを見ていこう。
1・編集者との打ち合わせ。 ↓ 2・テキストによるシナプスを作る。 ↓ 3・ネーム(絵コンテ)を描く。 ↓ 4・ネームをFAXで編集者に送り、電話で打ち合わせ。Goサインが出たら作業に入る。 ↓ 5・ケント紙にコマを割り、フキダシとセリフを書き写す。 ↓ 6・72dpiグレーでスキャンして保存。 ↓ 7・フキダシだけをミリペンなどで別の紙にトレスし、600dpiモノクロ2値でスキャン、保存。 ↓ 8・ケント紙に下書き。 ↓ 9・下書きを72dpiでスキャン、保存。 ↓ 10・ケント紙にペンいれ。 ↓ 11・600dpiモノクロ2値でスキャン、保存。 ↓ 12・ここから本格的にデジタル仕上げに入る。多重レイヤーの作業ファイルを作成。 ↓ 13・レンダリング。作業ファイルを複製してレイヤー統合し、TIFF形式で保存。 ↓ 14・完成ファイルのリネーム。 ↓ 15・ミスがないかチェック後、完成ファイルをCD-ROMに焼き、編集部に入稿。 ↓ 16・外部メディアにバックアップをとる。
こうして見るとかなりの部分がデジタル作業で占めているように見えるが、作業時間で見るとアナログ作業が8割、デジタル作業(シナプスを含む)が2割である。 とはいえ、最後の仕上げでようやく絵として完成することを考えれば、デジタル作業の重要なことは疑いない。 次回からはデジタルならではのテクニックについて解説していこうと思う。 (木城ゆきと/2003.8.24)