さてさて毎月恒例の映画レビュー+αです。(^^
……とその前に、今月14日でまた一歩棺桶に近づいた私ですが(38歳!)今年も先生から誕生日プレゼントをいただきました。なかなか見事な出来栄えの遮光器土偶レプリカです。(^^
オッス!おら土偶!
遮光器土偶と言ってもいろいろなタイプのものがあるらしいですが、これは一番有名なもののレプリカです。青森の亀ヶ岡遺跡で出土した、縄文後期のものですね。かの宇宙考古学の大家エーリッヒ・フォン・デニケンが「このデザインは宇宙服を模したものに間違いない。古代に宇宙人が来ていた証拠だ!」と妄言を吐いて世界的に有名になりました。
今回もらったものは高さ約20cmですが、数値より大きく見えますね。色を塗ったものではなくて、粘土をただ焼いただけの本物の素焼きなので重量感があります。ディテールもよくできていてオカルトファンも納得の出来栄えです。ヽ(^。^)ノ
●ダークナイト(リンク)
ご存知、2005年に公開された『バットマン・ビギンズ(リンク)』の続編。世間ではやたらに「傑作!」との呼び声が高い本作ですが、はっきり言ってそんなに面白くありません。いいシーンもあるし雰囲気も悪くないし俳優も頑張っているんですが、単純に監督の問題でしょうね、これは。
ストーリーは非常に複雑で説明が面倒なので(^^;、気になる方は各自調べてみてください。
前作『バットマン・ビギンズ』から感じていたことですが、シーンの切り替えが細かすぎるのか全体的に話の流れが悪く、どういう方向に話が向かっているのかがわかりにくく感じます。加えて2時間半もある映画ですが、本筋と関係ない余分なシーンも相当あります。なんか監督が「撮りたいシーン」だけを撮って、後からつなぎあわせたような感覚です。
んで、今回の話のテーマは、劇中ジョーカーがさんざん言ってましたが「モラル」なんですよね。「一般人のモラル」「ヒーローのモラル」「悪人のモラル」……しかもモラルのあり方にそれぞれが悩むというよりは、社会から消えうせたモラルにそれぞれが絶望するような内容です。でも描き方が中途半端で、モラルがあるにせよないにせよドラマに突き抜けるカタルシスがありません。
そもそも、狂ったキャラクターのジョーカーが「モラル」なんて言葉を口にすることに違和感を感じるのですが……あのキャラの頭の中にはモラルの「モ」の字もないように思われるんですけど。逆にバットマンが「俺にはモラルが欠けている!」とか言って悩むんならわかるんですが(笑)。
そのバットマンがだいたい甘い。両親を悪人に殺されたトラウマがバットマンを生み出したならば、一般市民を助けるような(スーパーマンやスパイダーマンのような)当たり前のヒーローにはならないはず。一般市民の窮地なんか無視してひたすら悪人を追いかけ、容赦なくぶち殺すキャラクターじゃなきゃダメだろう……と思っていたんですが、見終わってみるとこの作品は、バットマンが闇のヒーロー「ダークナイト」へと成長する過程の物語だったんですね。
しかしそのこと以外にもいろんなエピソードが含まれていますが、なんかどれもギクシャクしてて消化不良気味に感じます。ジョーカー誕生のエピソードは本人が語りますがただの虐待話だし、狂気のキャラクターというわりにハジケ切れてない。むしろ悲劇の検事ハービー・デントの方がジョーカーのような悪役になるのにふさわしい感じがするのに(あれはあれでトゥー・フェイスというキャラらしいですが)、あっさり死んでしまうのがもったいない。ハービー・デントがバットマンと戦うほうがはるかにわかりやすいし、テーマ的にもいいと思うんですけどねー。
この「バットマン」という話はブルース・ウェイン(バットマン)という「セレブリティ」とジョーカーという「基地外」が戦う話なので、どうも感情移入しにくいんですよね。主役が新聞記者のスーパーマンやサエない学生のスパイダーマンとは違って、ブルース・ウェインのまわりの人間も(警察を除けば)高所得者だし、一般市民から見た視点というのがないのがツライ。かつてのティム・バートン版「バットマン」はバットマンもジョーカーもクリーチャーとして描いていたので、怪物たちが世間を騒がす見せ物小屋的な面白さが良かったんですけどね。
まあ私は原作のアメコミ版『ダークナイト』は読んだことないので好き勝手言いましたが、なんかこのギクシャク感、すっきりしない感覚はまさに「アメコミ感覚」なのかもしれません。アメコミの空気感を忠実に再現するとこんな感じになる……のかなぁと思った次第です。
●怪談新耳袋・殴り込み(リンク)
オムニバス怪談ドラマ『怪談・新耳袋』の監督や映画雑誌「映画秘宝」のライターたちが、『新耳袋』で語られた心霊スポットを実際に見て回るというドキュメンタリー。すでに同名の書籍も出ているんですが(リンク)今回はそれの映像版という感じです。
まあ初めから覚悟はしてましたが……別にこのドキュメンタリーは怖くありません。書籍版も別に怖くなくて、要するに『新耳袋』のファンが現地に赴いて大騒ぎしたという話です。やってることは完全に素人レベルで、YouTubeに上がってても別段気に留めることもないような感じですね。(^^;
正直言うと、私も「ゆきとぴあ」の夏の怪奇特集で心霊スポットを回りましたし、わかるんですよ……心霊スポットを回ったところで、心霊現象なんかそうそう起こらないってことは(笑)。
しかしそれでも本作はショボ過ぎです。最初の「狐火」といって大騒ぎしてるのは、どう見てもカメラのフラッシュに反射した雨粒だし、心霊トンネルでは水の落ちる音を足音と勘違いしてるし……特典映像の石壁の間から出てきた「白いもの」って、どう見たって草のつるにしか見えません。
まあ実際に行ってきた人たちが興奮したり怖がったりするのはわかるんですが、それを客観的な映像で、視聴者に一緒になって楽しめと言われても無理な話。この際ヤラセでもなんでもいいから作っちゃえば良かったのに……とかフキンシンなことをつい考えてしまいます。これだったら書籍版の方が、文章で想像をかき立てられる分だけ楽しめましたね。
見てる最中に眠くなってしまった本作ですが、唯一「山の牧場」の映像があるのは良かったですね。ここは心霊現象が起こらなくても怖いですし(笑)。
やはり、たとえ伝説になったような怪談話でもまじめにドキュメントしちゃったりすると、往々にチープになってしまうという実証例と言えるでしょう。しかも素人の肝試しレベルなのが痛い。伝説は伝説として残しておくか、あるいは実証するなら新たな伝説を作るくらいのことをしてもらいたいものです。頼みますよ映画秘宝さん。
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