[1045] 和製キャスパー…?返信 削除
2012/8/17 (金) 04:20:48 nachtschwarmer@1121

憑依の話は怖いので一旦お休みして違う話に逃げます(笑)。
これは私が僧侶の修行をして山籠もりをしていた時のお話。

佛教の"行"は全国各地に設置された特定の「道場」に入り行をします。
私が入った道場は参拝客が常に絶えないそこそこ大きなお寺でしたが、修行道場としては長らく使われていない道場でした。茨城県にあります。

その時の行者は全部で6人。
全員若者でしたが、一人生まれつき片脚が不自由な男性Tがおりました。
修行場(堂)は山の各場所にあり、行者は朝起きると僧房から堂まで徒歩で移動します。

行者の一日は朝早く夜早い。白々明るくなった頃に堂に向かい"行"を始め、夕暮れ前に終えて僧房に戻り、食事・沐浴をして20〜21時には消灯となりますが、足が不自由なその男性は何かにつけ行動が遅れてしまい、"行"がどんどん遅れていきました("行"は決められた量がありそれをすべて終えることが条件。監視などは付かない)。

しかし男性は「こんな場所に一人残るのは嫌だ!みんなと一緒に下山するんだ!」と日が暮れた後も、真っ暗(山の中の夜は本当に暗い!)な中を自分の堂に行き"行"をしておりました。

そんなある晩、一日を終え僧房で休んでおりますと、玄関から「ガタガタガタッ!」と大きな音がしました。「何事か?」と一同玄関に向かうと、独り"行"をしに外出していたTさんが真っ青な顔をして腰を抜かして倒れ込んで玄関の足踏み場にしがみついて震えておりました。

「どうかしましたか?」と訪ねると、以下のような説明。

堂から僧房に戻る途中、本堂の前を通った際に正面でひざまずいて、額を地面に付けて礼をした。顔を上げるとそれまで居なかったのに、本堂の廊下を白い子供の影が「ぱたぱたぱた」と走り回っていた。

「冷静に思い返すとそれほど恐ろしいものを目にしたわけではなかったが、人生で初めて幽霊を見たから心底驚いた。ここまで夢中で走ってきたが安心した途端腰が抜けてしまった。」とのこと。

その山は、子授・安産・子育祈願、そして水子供養・水子納骨を生業とするお寺でしたので、一同怖がるどころか「ほぅ〜」と納得。

後日談はありませんでした。

ちなみに、僧房の前の廊下は行者が寝静まった頃になると毎晩人が歩き回る音がしておりました。こちらは子供ではなく、大人がゆっくりと同じ場所をぐるぐる行ったり来たりする音でした。毎晩ビクビクしながら聞いておりましたが僧房に入って来るようなことは一度もありませんでした。

それよりも、山では幽霊よりも、巨大なムカデやクモの方が恐怖でした。

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Cyclamen v3.84