プリーズの参拾七

「夜の高野山」

かんちゃん さん

モータースポーツクラブの対抗戦で、ホームグラウンドである関西の某・宗教総本山を走っていた時のことです。

1レグと2レグの間の休憩時間のころ、○○スカイラインのパーキングエリアで、ナビゲーターとして助手席に座っていた彼女(現在の嫁様)が、サイドブレーキを下ろそうとこちらに手を伸ばそうとしているように見えました。

「おいおい、サイドブレーキなんか下ろしてくれるなよ」

と思った瞬間、彼女は、

「どうしてシフトノブを触ってるの?」

と言いかけて、僕の両手がステアリングを握ってることに気づきました。

だからと言ってその後で僕らが事故を起こしたわけではないですが、その時すでに、別の車両が8m下の川に落ちて、ドライバーが下半身不随になる事故が起こっていました。
幸いにもナビゲーターは無事でした。

あの時、二人が同時に同じ何かを見ていたことは間違いありません。