プリーズの弐拾八

「赤痢病連」

雨月 さん

以前働いていた会社の同僚の女性Sの体験談なんですが、高校の時友達2人とそれぞれの彼氏計6人で肝試しに病院の廃屋に行ったそうです。

そこは僕も知っている場所で住宅街にあるのですが、他の病院と違って「赤痢病棟」がありました。
そこに患者を隔離しておくわけですね。

時間は夜の11時頃。さすがに女の子3人は恐くなって車で待ち、男3人が入っていったそうですが、しばらくしてSがふと赤痢病棟の2階の窓を見ると、白い人影のようなものがこちらを窺うように覗いていたそうです。

男3人は別の病棟を見に行き、今も懐中電灯の明かりは離れたところに見えます。
それに赤痢病棟の方には明かりもなく、普通に考えて何か見えるわけはないのですが、白い服のようなものがはっきりと浮かび上がっていたそうです。

Sがびっくりして「出たっ」と声を上げると、とたんに車の窓が霜でも降りたように白く曇ってしまい、Sを含む女の子3人は泣き出してしまいました。
男3人が駆けつけた時にはもう窓は元どおりでしたが、皆慌てて逃げ帰ったそうです。
今はその病院は取り壊され、空き地になっていますが、以前から「出る」という噂はあったようです。

「誰かのいたずらじゃないの?」と聞いてみたのですが、S以外の女の子には見えなかったというし窓が曇ったのもおかしな話だと思いました(ちなみに、夏休みに行ったそうです)。
Sは霊感も強く、死んだ祖母の姿も見たことがある、と言っていました。