プリーズの弐拾六

「見えないペット」

間 さん

また怖くない恐怖?体験です。済みません(笑)。

某美術系専門学校に入学した頃の話です。
初めてワンルームのアパートに一人暮らしをしました。そのアパートは、鉄筋のせいか静かで、部屋も南向きで日当たり良好、とってもお気に入りでした。
ただ、部屋に入ったときに足元をすっと白い猫のようなものが通ったような気が頻繁にしました。
最初は、そこに住むまで実家で白い猫を飼っていたので、その感覚が残っているんだな、と思っていました。
しかし、その部屋に住んでからかなりの確率で猫の夢を見ます。よもや実家の猫に何かあったのでは?と度々電話を掛けて様子を尋ねたりもしていました。
そんなある日、実は真下の部屋には、同じクラスの女の子が住んでいる事が判明しました。あら、偶然!などと話していますと、その子がいきなり、

「猫飼ってるでしょ?あそこペット禁止なのに・・・内緒にしておくから今度見せて!」

なんて言って来るじゃありませんか。

「へ?か、飼ってないよ!」

と否定しましたが全然信じてくれず、それどころか、

「隠さなくてもいいじゃない!毎日とたとた走ってるの聞こえてるよ〜!昨日だって夜、走ってたでしょ?」

「・・・!」

実は、昨日は友人宅で外泊しており部屋にはいませんでした。どうやら、気のせいではなくて、私は見えないにゃんこを飼っていたようです。
結局、これも原因なんて解らないのですが、特に実害も無いし、猫も好きなので放っておきました。

ただこの部屋、見えない猫以外にも見たことのない白くて綺麗な蜘蛛が、朝目覚めると枕もとにいらっしゃったり、珍客が多かったです。